野党の逆転勝利は難しい!? オーストラリア連邦選挙まで2週間切る

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労働党の単独過半数か、閣外協力で少数政権樹立か

 与党労働党(中道左派)が少数与党に転落するのか、あるいは単独過半数を維持するのか。5月3日投票のオーストラリア連邦選挙は、与野党の勝敗よりも、選挙後の労働党政権の枠組みがどうなるかに焦点が移ってきた。

 調査会社ニューズポールが14〜17日に実施し、21日付の全国紙「オーストラリアン」が掲載した最新の世論調査(サンプル1,263人)によると、アンソニー・アルバニージー首相率いる労働党と、ピーター・ダットン代表(自由党党首)の最大野党・保守連合(中道右派)の二大政党の支持率は、前回調査(7〜10日実施)とほとんど変わらなかった。

 選好票の配分後の実際の選挙結果に近い「二大政党別支持率」は、労働党52%、保守連合48%と前回調査と同じ。選好票の配分前の一次票の得票率に近い「各政党別支持率」は、労働党34%(前回から1ポイント上昇)、保守連合35%(前回と変わらず)、左派「グリーンズ」(緑の党)12%(変わらず)、右派「ワンネーション」7%(1ポイント下落)、温室効果ガス削減を掲げる保守系無所属のグループ「ティール」を含む「その他」12%(変わらず)だった。

 「どちらのリーダーが首相にふさわしいか」の設問では、アルバニージー首相と答えたのは52%(前回から3ポイント上昇)と、ダットン代表の36%(2ポイント下落)を引き離した。

ギャンブルのオッズも与党勝利織り込む

 オーストラリアンの分析によると、連邦選挙の投票まで2週間を切り、保守連合の逆転勝利の道は険しくなってきたという。同紙は「これらの数字が5月3日の投票にそのまま反映された場合、依然としてハング・パーラメント(少数与党、少数政権)となる公算は高いが、労働党が僅差で単独過半数を制する可能性もある」と指摘した。

 ギャンブラーも労働党勝利を織り込んでいる。連邦選挙結果に賭けるギャンブル大手「TAB」のオッズ(数字が小さいほど可能性が高い)は21日現在、労働党が1.20倍、保守連合が4.50倍となっている。選挙後の政権の枠組みについては、「労働党の少数政権」が2.20倍、「労働党の単独過半数」が2.25倍と拮抗している。「保守連合の少数政権」は5.50倍、「保守連合の単独過半数」は13.00倍となっている。

 連邦選挙は、下院(任期3年)の全議席と上院(任期6年)の約半数を改選する。2022年の前回選挙で9年ぶりに政権交代を果たした労働党は2期目の続投、保守連合は3年ぶりの政権奪回をそれぞれ目指す。選挙戦の主な争点には、物価高やエネルギー、住宅問題などが浮上している。

 仮に過半数に届かなかった場合、労働党はグリーンズやティールと閣外協力を結び、少数政権を樹立する可能性がある。その場合、労働党政権2期目の環境・エネルギー政策は、より厳しい温室効果ガス削減策を掲げるこれらの少数勢力に引っ張られることが予測される。

■ソース

ALP lifts primary despite leader dip(The Australian)

Australian Federal Politics – Betting Odds(TAB)

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