雇用主への刑事罰は「やりすぎ」 撤回へ
勤務先から時間外に電話やメールなどで連絡があっても無視できる「つながらない権利」を認める連邦公正労働法改正案が8日、オーストラリア連邦議会で成立した。
新しい法律は、緊急事態や手当の支払いが発生する待ち時間を除き、雇用主が従業員に勤務時間外に連絡を取ることを禁止した。従業員が時間外に勤務先からのEメールや電話を確認したり、返信したりする義務がないことも明記した。
つながらない権利の法制化は、与党労働党が進める労使関係改革の一環。公共放送ABC(電子版)によると、上院でキャスティングボートを握る左派グリーンズ(緑の党)が、与党との交渉でねじ込んできたという。法案は与党とグリーンズ、無所属議員2人の賛成多数で上院で可決、成立した。
改正法は6カ月後に発効する。ただ、違反した雇用主に刑事罰が課され、最大1万8,000豪ドル(約175万円)の罰金支払いが命じられる可能性があることが発覚した。与党の手続きミスと見られる。このため、アンソニー・アルバニージー首相はABCに対し、法律が発効するまでに別の法律で雇用主が刑事罰に問われることのないように配慮する考えを示した。
トニー・バーク職場関係相は、雇用主を刑事罰に問うのではなく、従業員が時間外の連絡を無視しても雇用主からペナルティーを受けることのないよう、労使協定で合意するという案を示している。
■ソース
Fair Work Amendment (Right to Disconnect) Bill 2023(Commonwealth of Australia Bills)