世界的にカカオ不足 主産地のアフリカ西部でカカオ豆の生産縮小
一般的に女性がチョコレートを男性にプレゼントする日本と異なり、オーストラリアでは恋人同士や夫婦が互いに愛を確かめ合うバレンタインデー。習慣の違いはあるにせよ、チョコレートの需要が急激に高まる時期であることはオーストラリアも同じだ。ただ、今年はチョコレートの価格が急激に値上がりしていて、消費者の財布に響いている。14日付の公共放送ABC(電子版)が報じている。
オランダの農業系金融機関ラボバンクのデータによると、チョコレートの価格は1年前と比較して10.3%上昇。オーストラリア統計局の最新の消費者物価指数(CPI)統計によると、チョコレートを含む「スナック・菓子」は前年同期比で6.8%高い。
チョコレートの原料は、樹木のカカオの種子であるカカオ豆から発酵、焙煎などの工程を経て作られるココア。高騰の背景には、そのココアが世界的に品薄となっていることがある。
ABCによると、ココアの価格は2023年1年間で144%上昇(約2.4倍)し、史上最高値を更新し続けている。23年初頭まで1トン当たり4,000豪ドル前後で安定していたココアの国際価格は現在、9,000豪ドル程度まで吊り上がっている。ココア不足は当面続きそうで、24年の需要に対する供給の不足分は16万トンと統計が残る1960年以降で最大になると予測している。
「サステナブルなチョコレート買って」と専門家
ココアが不足しているのは、世界生産の約3分の2を占める西アフリカのコートジボワールとガーナで、いくつかの要因でカカオ豆の生産が減少しているためだ。
専門家によると、長期的な問題としては、森林伐採や生産者の減少で栽培が縮小していることがある。短期的な問題としては、天候不順による不作に加え、コナカイガラムシと呼ばれる害虫によってカカオの木が枯れる被害が発生し、カカオ豆の単収が落ち込んでいる。
また、アフリカ西部のカカオ豆生産者は、低賃金と過酷な環境で働いていて、後継者も不足しているという。専門家は人道的な観点から、生産者の生活水準の向上や環境保全などのサステナビリティー(持続可能性)に配慮したチョコレートを買い求めるよう、消費者に呼びかけている。
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