賃金物価指数4.2%上昇 14年9カ月ぶり高水準
賃上げのペースがようやく物価上昇に追いついてきた。オーストラリア統計局(ABS)によると、2023年10-12月期の賃金物価指数(WPI)は前年同期比で4.2%上昇し、09年1-3月期以来14年9カ月ぶりの高水準を記録。物価上昇を考慮した実質賃金の伸び(日本の統計とは計算方法が異なる)は、21年1-3月期以来2年9カ月ぶりに小幅ながらプラスに転じた。23年10-12期の消費者物価指数(CPI)の上昇率は4.1%だった。
オーストラリアでは21年から22年にかけて、経済再開や供給制約、ロシアによるウクライナ侵攻による商品高騰などを背景にインフレが加速。物価の上昇ペースが賃金の伸びを上回る「実質賃金の低下」が続いていた。つまり、オーストラリアの就労者の収入が実質的に目減りしていた。
インフレを抑制するため、豪準備銀は22年5月以降に前例のないペースで利上げを実施。CPI上昇率は22年末に7.8%でピークを打ち、23年を通して下落した。一方、CPIに対してタイムラグがある「遅行指数」のWPIは緩やかに上昇を続けてきた。
ジム・チャーマーズ連邦財務相は声明で「実質賃金が成長に転じるのは、想定よりも早かった。非常に歓迎すべき、勇気付けられる数字だが、まだ(物価高で)生活に苦しんでいる人はいる」と述べ、7月1日の施行を予定している所得税減税第3弾を見直す必要性を訴えた。労働党政権は、中間層への税負担をさらに和らげる法案改正を目指している。
■ソース
Wage Price Index, Australia(Australian Bureau of Statistics)