クイーンズランド州最高裁
オーストラリア北東部ブリスベンのクイーンズランド州最高裁は27日、州警察と州保健省が警察官や救命医療士などに対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を命じたのは違法と認定する判決を下した。地元ニュースメディアが報じている。
州最高裁のグレン・マーティン裁判官は判決で、クイーンズランド州警察のカタリーナ・キャロル警視総監が2021年12月に発令したワクチン接種命令は州人権法の下で「違法」と認定した。また、州保健省のジョン・ウェイクフィールド事務次官が命じたワクチン接種も「無効」だと判断した。
裁判では、警察官と職員、救命医療士の原告74人が、2021年と22年のワクチン接種命令をめぐり警察と保健省を訴えていた。判決により、州警視総監と州保健省の最高責任者は今後、同様の命令を発令することが禁じられた。また、命令に従わなかった職員への懲戒処分も禁止された。
オーストラリアではコロナ禍のピーク時、政府機関や企業が職員にワクチン接種を義務付ける動きが相次いだ。ワクチン反対派からは、人権侵害だとの批判が高まっていた。
裁判費用については、ワクチンやロックダウン(都市封鎖)に反対する小政党「ユナイテッド・オーストラリア党」(UAP)を率いる富豪のクライブ・パーマー元連邦下院議員が300万豪ドルの私費を投じたと報じられている。
オーストラリアの司法制度では、州最高裁は高裁に相当する。報道によると、被告側の州政府は判決を不服として連邦最高裁に上告する見通しだという。法律の専門家からは、他州でも同様の訴訟が相次ぐ可能性があるとの指摘も出ている。
■ソース
‘They lied!’: Vaccine mandates for Queensland police and ambulance ruled ‘unlawful’(news.com.au)