州警察の行進は制服着用認めず
オーストラリアの現地メディアによると、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー=性的少数者の総称)の祭典「シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ」のメインイベントとなる2日夜のパレードで、同国の航空最大手カンタス航空のフロート(山車)が、2月のゲイカップル殺人事件の犠牲者で同社客室乗務員(CA)のルーク・デービスさん(29)を追悼する。
メディア大手ニューズ・コーポレーションのニュースサイトは、カンタスはデービスさんの名前をフロートの先頭に掲げ、弔意を表すもようだと報じた。デービスさんは殺害されていなければ、パレードに参加していた可能性が高いという。
この事件では、ニューサウスウェールズ州警察の男性巡査、ボー・ラマール−コンドン被告(28)が2月19日、元テレビ司会者のジェシー・ベアードさん(26)が住む同東郊パディントンの自宅で、ベアードさんとデービスさんを州警察支給の拳銃で撃ち殺し、遺体を遺棄した疑いが持たれている。被告は23日、シドニー東郊の警察署に自首し、殺人罪などで起訴された。2人の遺体は同27日、シドニーから直線距離で160キロ南西に位置する山中で見つかった。
地元紙によると、警察は被告が元交際相手のベアードさんにストーカー行為をおこなっていたと見ている。被告は当初、ベアードさんのみを殺害するつもりだったが、たまたまいっしょにいた新しい交際相手のデービスさんも巻き添えにした可能性があるという。
オーストラリアでは、ゲイは一般的に接客業の従事者が多く、特に航空会社の客室乗務員はその割合が高いとされる。カンタスで08年から23年まで15年間、最高経営責任者(CEO)を務めたアラン・ジョイス氏も、ゲイであることを自らカミングアウトし、多様性を認める企業文化を浸透させた。カンタスはマルディ・グラの公式エアラインも務めている。
なお、ニューサウスウェールズ州警察のフロートも毎年、パレードに参加している。事件を受けて今年は行進を見合わせる予定だったが、州政府と州警察は直前になって制服を着用しない形で参加することを認めている。
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