実物と異なる色彩に非難轟々
オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州南東部の山岳地帯、スノーウィー・マウンテンにあるアダミナビーでは、町のシンボルとなっているニジマスの彫像「ビッグ・トラウト」が昨年、50周年を機に修復されて塗り替えられたが、色とデザインが不評のため、塗装をやり直すことになった。オーストラリアの公共放送ABC(電子版)が伝えている。
オーストラリアの地方をドライブ旅行していると、あちこちで目にする動物や特産品などの巨大な彫像。「ビッグ・シングス」(大きな物)と呼ばれ、全国に150個以上あるとされるが、ビッグ・トラウトもその1つ。1973年、マス釣りのメッカである町の観光を振興しようと、幹線道路を通過する車からよく見える公園内に建造された。
鉄製の枠をガラス樹脂で覆った魚体は、高さ10メートル、重さ2.5トンと巨大。高層建築がない田舎町の青空にそびえ立ち、「アダミナビーといえばビッグ・トラウト」と言われるくらい、市民や釣り客に親しまれてきた。
半世紀にわたって風雨に耐えてきた魚体は、これまでも何度か修復や塗り直しが行われてきた。地元のスノーウィー・モナロ町役場は昨年、州政府からの補助金31万8,000豪ドルを使い、50年前の姿を再現するべく全面改修した。
ところが、完成した最新バージョンは、背中が黒、頭部から側面にかけて鮮やかな桃色で塗られていて、薄い緑色の背中に黒い斑点が混じり、側面にほのかな桃色が入ったニジマスの名の通り豊かな色彩とは全く別物だった。「実物と違う」と抗議の声が噴出したため、クリス・ハンナ町長はこのほど「人々に愛されるランドマーク(歴史的建造物)としてのビッグ・トラウトの将来を考えると、私たちは正しいことをしなければならない」と述べ、塗装をやり直すと発表した。
再塗装の財源は、州政府の補助金の残りから捻出するという。新しいデザインを今月中に公表して意見を募り、南半球の冬までに塗り直したいとしている。
■ソース
The Big Trout to be repainted after Adaminaby community outcry over ‘wrong’ colours(ABC News)