企業役員やAFLコミッショナーなど歴任
英国国王のチャールズ三世が、女性実業家のサマンサ・モスティン氏をオーストラリアの第28代連邦総督に任命する人事を承認した。オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が3日、発表した。5年の任期が切れる元軍人のデービッド・ハーリー第27代連邦総督の後任として、7月1日に宣誓就任する。
モスティン氏は1965年キャンベラ生まれの58歳。オーストラリア国立大学卒業後、弁護士、ポール・キーティング元首相の政策顧問、シドニー五輪組織委員、様々な企業の役員、女性初のオーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)のコミッショナーなどを歴任。企業のジェンダー平等、気候変動対策などの活動でも実績があり、AFLでは女子リーグAFLWの創設に貢献した。
連邦総督は、オーストラリア憲法上の国家元首である英国王の代理人。公の職に就く者の序列としては国内最高位で、退役軍人や元法律家などが任命されるケースが多い。女性の登用は、2014年まで第25代連邦総督を務めたクェンティン・ブライス氏に続いて2人目。以前は英国から派遣されていたが、現在ではオーストラリア政府が自国民を指名し、英国王が任命している。
英国王に代わり、首相の任免や法案の裁可など憲法が定めた執務を行うが、実質的な政治的影響力を持たない名誉職とされる。ただ、1975年には議会の膠着状態を打破するため、当時のジョン・カー連邦総督が憲法上の権限を行使して現職首相を罷免し、野党党首を首相に任命するという異例の事態が起きたこともある。
■ソース
Australia’s new Governor-General, Media Release(Australia’s new Governor-General)