ホークスベリー川流域は引き続き警戒
4日から5日にかけてオーストラリア東部を襲った豪雨の中心は次第に南下し、人口が集中するシドニーは6日朝、一転して快晴に恵まれた。しかし、局地的に200ミリ以上の雨量を記録しており、州政府はこれから河川の水位が上昇する可能性があるとして警戒を呼びかけている。
公共放送ABC(電子版)の報道によると、6日朝までの48時間の雨量は、シドニーの南方の位置するイラワラ地区のブロジャーズ・クリークで328ミリ、シドニー北西郊外ワルンガで285ミリ、同西郊ペンリスで252ミリを記録した。シドニー西方から北方にかけてのホークスペリー/ネピアン川流域などでは今後も水位が上昇する危険がある。
ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は6日午前の会見で「シドニーは青空に恵まれ、大雨の緊急事態は和らいでいるように見える。しかし、いくつかの河川、中でもシドニー西部では、水位の上昇に注意することが重要だ」と述べ、流域の住民に引き続き警戒を呼びかけた。
ホークスベリー川、ネピアン川に架かるシドニー北西部のリッチモンド橋、ヤラマンディ橋は現在、水位の上昇により通行止めとなっている。同ウィンザー橋も今後閉鎖される見通しだとしている。
今回の集中豪雨では、ニューサウスウェールズ州緊急救助隊(SES)のボランティア約4,000人が夜通し活動し、シドニー都市圏の72人を含む合計152人を救出したという。現時点では洪水による直接の犠牲者は確認されていないが、ABCによるとペンリスで6日午前、男性1人の遺体が公園のそばの水路で発見された。現時点では事件か洪水による事故かどうかは分かっていない。
シドニー西方のブルー・マウンテンズ地区では、土砂崩れで道路が通行止めとなり、メガロン・バレーの集落が孤立している。南方のイラワラ地区でも、土砂崩れのため海沿いの岸壁を通るシークリフ橋が閉鎖されている。北東郊外ナラビーンでは海につながるラグーン(湖)が氾濫し、付近の住民が避難している。
交通網も混乱している。シドニー南方では複数の地点で線路が冠水しているため、東部郊外と南部海岸を結ぶ州営鉄道路線「T4」は、ウォーターフォールからボマデリーの間で運転を見合わせている。
一方、最大波高がシドニーで9メートル、州南東部のポート・ケンブラで7.7メートルを記録するなど海は大しけとなっており、遊泳はもとより波打ち際に近づくことは危険だ。また、大雨によって大量の汚れた水が河川や海に流入しているため、ニューサウスウェールズ州保健省は汚水の中で遊泳しないよう呼びかけている。
■ソース
Bureau of Meteorology, Australian Government
Rainfall records broken, northern Sydney homes evacuated as floodwaters rise, follow live(ABC News)