アルバニージー首相やミンズ州首相、勇気ある行動を称賛
オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は14日、6人が刺殺される事件が起きたシドニー東郊ボンダイ・ジャンクションの現場前で会見を行い、容疑者を射殺した警官を称えた。
公共放送ABCテレビによると、ミンズ州首相は「(州警察の)エイミー・スコット警部は、プロ意識と勇敢さを見せて、危険に立ち向かった。一切躊躇することなく、多くの、多くの人命を救った」と述べ、刃物を持って立ち向かってきたジョール・カウチ容疑者(40)を無力化した同警部の勇気ある行動を褒め称えた。
会見に同席した州警察トップのカレン・ウェブ警視総監も、容疑者の射殺が「さらに多くの命が失われるのを防いだことは間違いない」と高く評価した。一方、連邦政府のアンソニー・アルバニージー首相も先に「彼女自身の危険をかえりみることなく、危機に立ち向かい、他者のために脅威を排除した」と称賛していた。
オーストラリアは死刑制度を廃止しており、何人殺害しようと最も重い刑罰は終身刑どまり。その一方で、銃器や刃物などの凶器を振りかざして抵抗する現行犯の犯罪者に対しては、急所を外すといった処置を採らず、現場で容赦なく射殺するケースが多い。
今回の容疑者射殺の妥当性をめぐっては一応、独立した機関が検証する見通しだが、スコット警部は犠牲拡大を阻止した英雄として名を残すことになりそうだ。
州首相は休暇先の東京からトンボ帰り
なお、事件発生の第一報を聞いた瞬間、ミンズ州首相はプライベートの休暇で東京に到着したばかりだった。州首相は急きょ日本滞在を取りやめ、空港から外に出ないまま乗ってきた機体でシドニーにトンボ帰りした。14日に帰国し、ボンダイ・ジャンクションの会見場所に駆けつけたという。
オーストラリアでは、連邦首相や州首相といったトップレベルの政治家でも、一般的な勤労者と同様に2週間程度の長い休暇を取るのが普通だ。休暇中はナンバー2が職務を代行する。ただ、休暇中に危機管理を怠り、命取りになるケースも過去に起きている。
スコット・モリソン連邦首相(当時)は、オーストラリア東部一帯が大規模な山火事に見舞われていた2019年12月、休暇を取ってハワイに出かけていたことが発覚。強いバッシングを浴び、支持率低迷のきっかけになった。
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