国際情勢の変化に対応
オーストラリアのアルバニージー労働党政権が17日に発表した2024年版「国防戦略」(NDS)と「統合投資計画」(IIP)は、今後10年間の配備計画と予算の裏付けとなる。海洋進出を加速させる中国やウクライナ侵攻を続けるロシア、不安定化する中東情勢など地政学的環境の変化に対応するため、保守連合の前政権が策定した前回の20年版と比べて予算を大幅に増額した。
IIPに盛り込んだ33-34年度までの国防予算の総額は、3,300億豪ドル(約32兆7,000億円)を見込む。20年版(29-30年度まで)の2,700億豪ドルから大幅に引き上げる。
国防費の増額は、5月に発表する24-25年度予算案に反映させる。23年に発表した「国防戦略見直し」を基準に、今後4年間で57億豪ドル、10年間で503億豪ドルを従来の計画に上乗せし、以下の作戦能力の獲得を図る。
◇海軍:通常兵器搭載の原子力潜水艦と、攻撃能力を高めた水上艦の配備
◇陸軍:長距離の陸上・海上攻撃が可能な沿岸作戦能力の最適化
◇空軍:長距離の諜報・監視・偵察能力、陸・海・空の攻撃能力の向上
◇宇宙・サイバー空間:電子戦能力の向上、宇宙空間での状況把握を含む統合的な能力の強化
リチャード・マールズ連邦副首相兼国防相は声明で「国防に歴史的な投資を行う。IIPに10年間で3,300億円を費やし、従来の計画から著しく増やす」と述べた上で、「(国際)問題が複雑化し、不透明感が増す中で、より強く、統合され、(必要な事案に)注力した、作戦能力の高い国防軍を配備することは最重要課題だ」との認識を示した。
■ソース
2024 Integrated Investment Program(Australian Government Defence)