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重要鉱物「マンガン」、出荷が完全に止まった理由とは?

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オーストラリア有数の鉱山、サイクロンで破壊 来年1〜3月まで操業再開できず

オーストラリア北部準州グルート・アイランド島にあるマンガン鉱山の施設(Photo: South32)

 鉄鋼の耐摩耗性や耐食性を高める添加剤や、電池の材料などに使われる金属「マンガン」(Mn)。世界有数の産出国であるオーストラリアからの輸出が今後約1年間、大幅に減少しそうだ。国内最大規模の鉱山が3月、サイクロン(熱帯低気圧)で壊滅的な打撃を受けたためだ。

 非鉄金属や原料炭の生産を手がける資源企業「サウス32」(本社:西オーストラリア州パース)は22日、操業を停止している露天掘りマンガン鉱山「グルート・アイランド・マイニング・カンパニー」(GEMCO)について、出荷再開が2025年第1四半期(1〜3月)になるとの見通しを示した。同日発表した四半期報告書で明らかにした。

 GEMCOはサウス32が60%、英資源企業「アングロ・アメリカン」が40%の権益を持つ。GEMCOの2023年のマンガン鉱石生産量は、湿重量ベースで354万5,000トン(正味の重量はおよそ50%とされる)あった。鉱山はカーペンタリア湾に浮かぶグルート・アイランド島にあり、3月18日に北部準州に上陸したサイクロン「ミーガン」によって、港湾施設やインフラが破壊され、生産や輸出ができない状態となっている。

 連邦政府の「オーストラリア地球科学機構」によると、マンガンは重量ベースで、鉄、アルミニウム、銅に次いで世界で4番目に多く使われている金属。9割が製鉄用の添加剤として使用されているほか、電気自動車(EV)用の電池材料としての需要も伸びているという。政府は経済安保戦略上の「重要鉱物」(クリティカル・ミネラル)にも指定している。

 米地質研究所(USGS)によると、オーストラリアのマンガン生産量(2023年=正味の重量ベース)は300万トンと、南アフリカ(720万トン)、ガボン(460万トン)に次いで3番目。埋蔵量は5億トンと南アフリカ(6億トン)に次いで2番目に多い。

■ソース

QUARTERLY REPORT March 2024(SOUTH32)

Australian Resource Reviews, Manganese Ore 2020(Geoscience Australia)

Mineral Commodities Summaries, Manganese(United States Geological Survey)





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