オーストラリアの新格安航空「ボンザ」
オーストラリアの格安航空会社(LCC)「ボンザ」は30日、始発から全便の運航を一時的に取り消したと発表した。同日午後3時の時点で、4月1日以降の飛行計画は未定。公共放送ABC(電子版)によると、国内各地の空港では混乱が広がっており、競合の最大手のカンタス航空や傘下LCCのジェットスター、ヴァージン・オーストラリア航空が、足止めされた乗客の救済に乗り出している。
ボンザは運休休止の理由について「事業の継続が可能かどうかついて交渉している」と説明している。資金繰りが悪化しているもようだ。
航空業界に詳しい専門家、ニール・ハンスフォード氏はABCに「(昨年の)クリスマスまで持つとは思っていなかった。クリスマスは乗り越えたが、オーナーの(米投資会社の)「777パートナーズ」が米国で問題を抱えていた」と述べ、運行休止の背景に親会社の経営悪化があるとの見方を示した。
ボンザは、ヴァージン・オーストラリア航空の元幹部らが創業、777パートナーズが資金を提供していた。2023年1月31日に第1便を就航させ、北東部クイーンズランド州のサンシャイン・コースト空港をハブ(拠点)に、主に大手が飛ばない地方都市を低料金で結んでいた。
オーストラリアの航空業界では、第2、第3の航空会社がことごとく苦戦してきた歴史がある。かつてカンタスに次ぐオーストラリア2番手の航空会社だったアンセット航空は米同時多発テロ直後の2001年9月に破たん。ヴァージン・オーストラリア航空も20年にコロナ禍の影響で経営危機に陥った後、米ファンドの下で再建。当時ヴァージン傘下にあったLCCのタイガーエア・オーストラリアも20年に運航を停止している。
ボンザがこのまま誰にも救済されず、運航を再開しない場合、運航開始からわずか1年3カ月という異例の短命に終わる。
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