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解凍したら本当に生き返ることができるの? 人体冷凍保存、実現したらまるでゾンビ!

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オーストラリアで初めて 技術や倫理に懸念も

 人の身体を冷凍して保存し、将来的に解凍して蘇生させることを目指す「人体冷凍保存」(クライオニクス)。その技術が将来、確立されることを前提に、遺体の冷凍保存サービスを手がけるオーストラリアの会社がこのほど、最近亡くなった男性の遺体を冷凍保存した。公共放送ABC(電子版)が伝えている。

 ABCによると、人体冷凍保存が行われるのは、オーストラリアだけではなく南半球でも初の事例だという。米国などではすでに多くの前例があり、著名人が死後に冷凍保存されたり、生前から利用を公表したりしている。

 最初の顧客となったのは、5月12日にシドニー市内の病院で死亡した80代の男性。遺体は摂氏マイナス6度に冷やされた上で、細胞の破壊を防ぐとされる液体が注入された。その後、ニューサウスウェールズ州南部ホルブルックにある冷凍保存施設に輸送。コンピューターで管理された特殊な冷凍庫に入れられ、液体窒素でマイナス200度まで冷やされた状態で保存されているという。

 顧客が支払った料金は17万豪ドル(1,770万円)。遺体を処理するための医療費が別にかかったとされる。

 現時点で冷凍保存された遺体を解凍して生き返らせる技術のめどが立っているわけではなく、SF映画の域を出ていない。また、遠い未来に蘇生が可能になったとしても、サービスを手がける会社や装置がそれまで存続しているとは限らない。

 専門家からは懸念の声も出ている。メルボルン大学保健科学部の代表を務めるブルース・トンプソン教授はABCに「スター・トレック(米SF映画、テレビドラマ・シリーズ)だ。実際、(冷凍された)ある種の細胞を解凍して蘇生する実験は成功している。しかし、何かの理由ですでに死亡した人体全体を生き返らせることができるようになるのは、非常に遠い未来のことになるだろう」と述べた。

 また、同教授は「こうしたサービスを手がける人は、現時点では助かる望みがなく、非常に(精神的に)弱っている人から料金をもらっている」と語り、科学の倫理やビジネスモデルを考え直す必要があるとの考えを示した。

■ソース

Southern Hemisphere’s first cryogenically frozen client at rest in regional New South Wales facility(ABC News)





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