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見積もり、甘すぎないか? 豪中銀本店のリノベ費用は計画の4倍、1,100億円に

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想定外のアスベスト 完成は4年遅れの2029年に

オーストラリアを代表するモダニズム建築と言われる豪準備銀本店ビル=シドニー市内マーティン・プレース65番地(Photo: Reserve Bank of Australia)

 シドニー市内中心部、マーティン・プレース65番地にある中央銀行・豪準備銀(RBA)の本店ビルの改装費用が、10億8,990豪ドル(約1,130億円)と計画の約4倍に膨れ上がる見通しだ。完成時期も2029年11月と当初の2025年から4年遅れる。公共放送ABC(電子版)が伝えている。

 RBA本店は、60年前の1964年に竣工。外壁にアルミニウムを多用した地上22階建てビルのデザインは、オーストラリアのモダニズム建築の傑作とされる。04年には国家の歴史遺産に指定された。ただ、雨漏りや内壁の亀裂など老朽化が深刻で、ビルの耐火材として建設当時は一般的だった有害なアスベスト(石綿)の使用も問題となっていた。

 このため、大がかりな改装工事が行われており、ミシェル・ブロック総裁をはじめとする1,439人の行員は、近隣のチフリー・スクエア8番地の仮事務所で業務を行っている。

 改装費用が大幅に膨れ上がり、完成時期も伸びた最大の理由は、当初想定されていなかった大量のアスベストが発見されたことにある。建物内部の梁や床、天井、壁、コンクリート板の隙間などほとんどすべての内装材に使用されていることが分かり、完全な防護服を着た作業員が安全に除去するには、かなりの年月とコストがかかることが確実となった。また、非常階段やエレベーターの周辺の壁の火災対策が不十分で、緊急時に危険であることも分かった。

 こうしたことから、現在の安全基準をクリアするには、鉄の構造物を除くほとんどの部材を取り替えてほとんど「丸裸」にする必要があり、工費も工程も大幅に伸びることが避けられなくなった。

 通常なら、取り壊して新しいビルを建設する方が手っ取り早そうだが、歴史遺産に指定されているため解体もできない。このため、RBAは次の4つの選択肢を検討した。

①これまで通り改装工事を続ける

②ビルを売却し、リースで入居する

③ビルを売却し、シドニー市内中心部の他のビルにリースで入居する

④ビルを売却し、シドニー市内中心部の他のビルを購入する

 その結果、①の費用が約11億豪ドルと最も低いとの結論に至ったという。

 費用はRBAの自己資金でまかなう。ただ、RBAは金融政策の独立性を担保されているものの、連邦政府が100%出資するいわば「子会社」。国防関連を除く公共工事のコストとしては、過去最大規模になると見られている。議会や有権者に対して納得のいく説明が求められている。

■ソース

Four-year, billion-dollar blowout as RBA’s horror renovation uncovers asbestos, cracks and death-trap lifts(ABC News)

65MP Options Analysis(Reserve Bank of Australia)





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