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油汚れのように粘着力強いインフレ! オーストラリアCPI、2カ月連続で加速

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5カ月ぶり高水準 予想上回り、利下げ期待は後退

 粘着力の強いインフレがオーストラリア経済にまとわり付き、しつこい油汚れのようになかなか取れない。オーストラリア統計局(ABS)が29日に発表した4月の月間消費者物価指数(CPI)指標(四半期統計とは集計方法やサンプル数が異なる)は前年同期比で3.6%上昇した。3月(3.5%上昇)に続いて2カ月連続で加速し、5カ月ぶりの高い水準となった。

 品目別の上昇率は、住居(4.9%)、食品・非アルコール飲料(3.8%)、アルコール飲料・タバコ(6.5%)などが目立った。住居のうち、家賃は賃貸住宅市場の需給ひっ迫を背景に7.5%、新築住宅も人件費や建材費の高騰により4.9%、それぞれ上昇した。電気料金の上昇幅は4.2%だったが、政府の補助金を除くと13.9%に達している。自動車燃料の上昇も7.4%と大きく、運輸全体(4.2%)を押し上げた。

 物価変動の激しい品目(果物・野菜、自動車燃料、休暇旅行)を除く月間CPI指標の上昇率は4.1%と前月と変わらなかった。

年内利下げ開始に黄信号

 RBAはインフレを抑制するため、22年5月からこれまでに政策金利を4.25ポイント引き上げて4.35%とした。同金利は12年ぶりの高水準にあるが、物価上昇のペースが22年12月のピーク時とくらべておおむね半分の水準まで落ち着いてきたため、23年11月以降は4会合連続で据え置いている。

 現時点では、次の一手は利下げと見られる。住宅ローンの負担増などにあえぐ家計にとっては朗報となるが、しつこい物価上昇や引き締まった雇用情勢を背景に、利下げの先行きには不透明感が増している。

 ロイター通信によると、29日の統計発表は市場予測の3.4%を0.2ポイント上回るネガティブなサプライズとなり、早期利下げはないとの観測が強まった。市場関係者の間では、まだ「豪準備銀(RBA)が今年10-12月期に利下げを開始する」というのがコンセンサスだが、年内利下げはないとの見方も出ているという。

 オランダ系大手銀INGのアジア太平洋部門トップを務めるロバート・カーネル氏は、統計発表を受けて年内利下げ予測を撤回した。カーネル氏はロイターに「2025年(の金融政策)も疑問が残る。現時点で、私たちは合計0.5ポイント(0.25ポイントの場合2回)の利上げを見込んでいる」と述べた。しかし、同氏は「RBAが金融引き締め(利上げ)を再開するリスクについても検討している」という。

■ソース

Monthly CPI indicator rose 3.6% in the year to April 2024(Australian Bureau of Statistics)

Australia inflation quickens to 5-month high, sounding rate alarm(Reuters)





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