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2030年の温室効果ガス目標やめます! オーストラリア野党党首

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政権奪回したら43%排出削減は白紙に パリ協定は離脱しない方針

 オーストラリアの最大野党・保守連合(自由党、国民党)のピーター・ダットン代表(自由党党首)は、次期連邦選挙で政権交代を果たせば、中道左派の現労働党政権が掲げる温室効果ガス排出削減目標を取りやめる方針だ。8日付の全国紙「オーストラリアン週末版」のインタビューで明らかにした。

 保守連合の前政権は当初「2030年までに05年比26〜28%削減」を計画していた。しかし、22年5月の前回選挙で政権を奪回した労働党政権は気候変動対策の強化に舵を切り、目標を「30年までに05年比43%削減」に引き上げた。43%削減の短期目標と、「50年までに排出実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)」の長期目標を明記した気候変動対策法も成立させた。

 ダットン氏は目標取り止めの理由について「達成できる見込みのない目標に意味はない」と述べた。ただ、次期選挙が来年5月まで(上院議席の約半数と下院の全議席を改選する場合)と1年以内に迫る中で、異論の多い目標取り止めは波紋を投げかけている。

 公共放送ABC(電子版)によると、野党「影の内閣」のエネルギー担当を務めるテッド・オブライアン連邦下院議員は、釈明に追われた。同議員はテレビ番組で「(保守連合は)パリ協定(温室効果ガス排出削減の国際的枠組み=2016年発効)の順守に本気だ。(2050年までの)排出実質ゼロ目標も本腰を入れて取り組んでいる」と強調した。保守連合は政権交代後もパリ協定を離脱しないが、30年までの短期目標はやめるという。

 労働党政権は、43%削減を達成するには再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠と見ている。送電網の電力に占める再エネ由来の電力の割合は22年に32%だったが、30年に82%まで高める計画だ。一方、保守連合のダットン代表らは、石炭火力発電に代わる安定的な電源として、温室効果ガスをほとんど発生しない原発を国内で初めて建設することを検討している。

 パリ協定締結国は、5年ごとに各国の削減目標(NDC)を更新する義務がある。来年は次の35年までのNDCの提出する必要がある。与野党の議論は今後、ますます活発化しそうだ。

■ソース

What is the Paris Agreement and what does it have to do with Australia’s climate targets?(ABC News)

Renewables(Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water)

2035 Emissions Reduction Targets(Climate Change Authority)





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