完全自動運転の「メトロ」が延伸
オーストラリア東部の中心都市、シドニーの旧態依然とした鉄道インフラが一気に進化する。北郊から市内中心部を縦断して南郊に抜けるニューサウスウェールズ(NSW)州営の地下鉄「シドニー・メトロ」の新線「シティ線」が8月、開業する。クリス・ミンズNSW州首相が24日、明らかにした。
トンネル内での緊急時の避難訓練などを含む試運転を2023年4月から実施してきた。開業の日付は発表していないが、運行スケジュール通りの試運転も既に開始し、営業運転の開始に向けて最終調整を行っている。
私鉄とJRがしのぎを削る日本の大都市と異なり、シドニーの鉄道網はNSW州の公営だ。大半は英国植民地時代の19世紀に整備され、老朽化している。シドニー・メトロは、既存の鉄道網に代わるオーストラリア初の完全自動運転の全く新しい鉄道として計画された。全駅にホームドアを備え、ピーク時に4分間隔で運行する。北西郊外のベッドタウンと北郊の中心都市チャッツウッドを結ぶ「北西線」の36キロが19年に開通していた。
8月に開業するシティ線は、北西線のチャッツウッドから延伸して市内中心部を縦断し、南郊に至る15.5キロ。北郊クロウズ・ネスト、北部の副都心ノース・シドニー(駅名はビクトリア・クロス)を経て、シドニー湾の下をトンネルで潜り、市内のバランガルー、マーティン・プレース、ピット・ストリート、セントラル駅地下、ウォータールーの7つの新駅を経て、南郊シドナムに至る。
新線は北部郊外から市内中心部へのアクセスを劇的に改善する。所要時間はチャッツウッドからセントラル駅までが15分、シドニー湾を隔てたノース・シドニーからバランガルーまではわずか3分に縮小する。
シドナムから先は今後、バンクスタウンまでの「南西線」を延伸する。これは新線ではなく、既存路線「T3」の線路と駅を改修する形で整備し、25年の開業を目指している。全線が開通すれば、46駅を経由する全長113キロのネットワークが完成する。
このルートとは別に、26年にシドニー西方に開業予定の西シドニー国際空港と近郊を結ぶ全長23キロの新線の建設を進めている。ただ、シドニー中心部とは直接、接続しない。また、シドニー市内から西郊パラマタを結ぶ全長24キロの「西部線」も32年の開業を予定している。
■ソース
Full speed ahead: trial running begins on city section of Sydney Metro(NSW Government)