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オーストラリア社会揺るがす「政治と宗教」の問題とは? ムスリム議員の離党が波紋

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労働党政権のパレスチナ政策に反旗

ペイマン上院議員(Photo: Wikipedia)

 オーストラリア連邦与党労働党のパレスチナ政策に批判的なイスラム系のファティマ・ペイマン上院議員が4日、同党を離党して無所属となった。ペイマン議員は6月25日、与党の方針に反し、上院で野党グリーンズ(緑の党)が提出したパレスチナ国家を承認する決議案(結果は否決)に賛成票を投じていた。

 将来のイスラエルとパレスチナ国家の「二国共存」を目指すものの、現時点ではパレスチナ国家を承認しないというのが、連邦政府のパレスチナ問題に関する基本姿勢だ。党議拘束に背いて承認決議案に賛成したペイマン議員に対し、労働党は党員総会への無期限出席停止という重い処分を下していた。公共放送ABC(電子版)によると、党の重鎮からは議員辞職を求める声も出ている。

 ペイマン議員は1995年アフガニスタンの首都カブール生まれ。2003年に家族でパースに移住。22年の前回連邦選挙で西オーストラリア州選出の上院議員(任期6年)に初当選していた。連邦議員で公の場で初めてヒジャブを着用した人物として知られる。

上院の与党勢力さらに縮小

 ペイマン議員の離党により、連邦上院(定数76)の各党の議席数は、与党労働党が1減の25、自由党・国民党の保守連合が31、その他の少数勢力「クロスベンチ」が1増の20(グリーンズ11、ワンネーション2,ランビー・ネットワーク1、ユナイテッド・オーストラリア党1、無所属5)となった。

 上院では与党が過半数に満たないねじれ状態が続いている。与党が過半数39を上回る賛成票を獲得して法案を通過させるには、保守連合31または「グリーンズ11+その他3以上」の協力が必要になる。ペイマン議員は与党の法案について是々非々で賛否を決める方針で、1議席を失った与党は引き続き難しい議会運営の舵取りを強いられる。

首相は「宗教政党」に否定的

 オーストラリアの政治とイスラム教の関係をめぐっては、別の動きも出ている。ABCによると、パレスチナ解放を目指すイスラム教徒の勢力「ムスリム・ボート」がこのほど、次期連邦選挙でシドニー西部などの選挙区で候補者を擁立する方針を表明した。

 これに対して、アンソニー・アルバニージー首相は5日の会見で「オーストラリアが教義に基づく政党の道に進むべきではないと思っている。社会的な結束を損ないかねないからだ」と語り、宗教政党の樹立による少数勢力の孤立を避けるべきだとの認識を示した。

■ソース

Labor leaders call for senator Fatima Payman to quit, but in the meantime they may need her vote(ABC News)

Faith-based political parties would ‘undermine social cohesion’, prime minister says(ABC News)

Occupied Palestinian Territories(Department of Foreign Affairs and Trade)





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