「夢見るペリカンの場所」
9日付の公共放送ABC(電子版)によると、シドニー南西郊外を流れるクックズ川を先住民アボリジナルの地名「グーレイヤリ」(Goolay’yari)に変更する案が浮上している。これは、地元のアボリジナルの部族の言葉で「夢見るペリカンの場所」を意味する。
クックズ川は、シドニー南西郊外のバンクスタウンからストラスフィールドなどを通り、シドニー国際空港近くのボタニー湾に注ぐ河川。穏やかに流れる川の両岸にはマングローブや緑の公園が広がり、周辺住民の憩いの場となっている。
名前の由来は、1770年にオーストラリア東海岸に到達し、英国による領有を宣言した海軍軍人で探検家のジェームズ・クックだ。オーストラリア大陸の「侵略」が始まったクックの上陸地点は、河口から湾を挟んだ東側にある。
流域の各市とシドニー水道局が参加する「クック川連合会」が、地元の先住民の代表者らと相談しながら改名を検討している。
協議に参加した先住民出身のグレゴリー・アンドリューズさんはABCに「名前を変更するのではなく、以前の名前に戻すだけなんです。ジェームズ・クックの名声と偉大な探検家としての功績を損ねるわけではありません」と温和な姿勢を示した。
オーストラリアでは入植者が付けた地名をやめ、先住民名に戻す動きがある。中央部の観光名所エアーズ・ロックは「ウルル」に、北東部クイーンズランド州のフレーザー島は「ガリ」にそれぞれ変更された例がある。
ただ、クック川の改名は現時点では検討段階。連合会が方針を決定したわけでもない。ニューサウスウェールズ州地名委員会が申請を認可して初めて正式に変更される。
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