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ジャビルカ鉱山ウラン開発、永久に封印 オーストラリア労働党政権

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先住民闘争、反核・反原発運動に終止符

国際的な反原発運動のロゴ(Photo: Wikipedia)

 オーストラリアで先住民の土地権をめぐる闘争や反核・反原発運動の主戦場となってきた北部準州のジャビルカ鉱山が、開発されないまま永続的に封印されることが決まった。アルバニージー連邦労働党政権は27日、8月に期限が切れる鉱山のリース権の延長を認めないと発表した。

 アルバニージー政権は、ウラン開発に長年反対してきた地元の先住民ミラー部族と協議しながら、鉱山の敷地を周囲のカカドゥ国立公園に編入する方針。同国立公園の一部とすることで、ウラン開発が永久にできないようにする。

 メデレーン・キング連邦資源・オーストラリア北部担当相は声明で「ERA(リース権を持つ企業)と大株主のリオ・ティント(オーストラリアの資源大手)が、リースの延長に強く反対してきた伝統的な土地所有者のミラー部族の支援がない状態で開発を進めることを断念したのは正しかった」と述べた。その上で同相は「ジャビルカ鉱山の全利害関係者と協議した結果、明解で確実な決定となった」(同相)と語り、当事者同士で合意形成が得られたことを強調した。

 ジャビルカでは1970年代にウラン鉱床が発見された。開発計画が持ち上がったが、80年代以降、先住民や反核・反原発陣営の運動の象徴的存在となった。オーストラリアの人気ロック・バンド「ミッドナイト・オイル」のリード・シンガーで、後に労働党政権の連邦環境相を務めたピーター・ギャレット氏も反対運動を主導した。今回の開発封印の決定は、約40年にわたる論争に終止符を打つ形となった。

 ただ、オーストラリア国内では現在、南オーストラリア州フォー・マイルと同オリンピック・ダムの2鉱山でウラン生産を行っている。オーストラリアは世界最大のウラン埋蔵量があり、生産量も4位となっているが、国内に商業用の原子炉は1基もなく、ほとんど全量を輸出している。

 一方、原発解禁をめぐる議論は高まっており、世論調査では原発容認派が増えている。最大野党の保守連合(自由党、労働党)は6月、国内7カ所に原発を新たに建設するとの公約を発表した。労働党政権は、ウラン生産・輸出は継続するものの国内の原発建設には反対というスタンスだ。ジャビルカ鉱山封印は、原発解禁に傾斜する野党や世論をけん制する狙いもあると見られる。

■ソース

Joint media release: Work begins to add Jabiluka site to Kakadu National Park(The Hon Tanya Plibersek MP)

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