2022年政権交代以降初
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー連邦首相は28日、2022年の政権交代以降で初となる内閣改造を行った。移民勾留者の釈放問題で批判を浴びた2閣僚を交代させるなど、新体制で来年5月までに実施される次期連邦選挙に向けて支持率浮揚を図る。
リチャード・マールズ副首相兼国防相やジム・チャーマーズ財務相、ペニー・ウォン外相らの主要閣僚は続投させた。これらの内閣の骨組みは堅持しつつ、クレア・オニール内務相を住宅・ホームレス問題相に替え、アンドリュー・ジャイルズ移住・市民権・多文化問題相を閣外相の技能・職業訓練相に降格させた。
連邦最高裁は昨年11月、不法移民などの無期限の勾留は違法との判決を下した。これを受けて、オニール氏とジャイルズ氏の2閣僚は性犯罪者などを含む150人の勾留者を釈放した。これが世論や野党の強い非難を浴びていた。このまま続投させた場合、次期選挙に悪影響が出るとの判断があったと見られる。
2閣僚の後任には、労働党の下院委員長も務めるベテランのトニー・バーク芸術相を起用した。バーク氏は内務相と移住相、サイバーセキュリティー担当相、芸術相を兼任する。
今回の内閣改造は、先住民出身者として初めて連邦政府の閣僚に就いたリンダ・バーニー先住民担当相と、閣僚経験の豊富なブレンダン・オコナー技能・職業訓練相の2閣僚が25日までに次期選挙での政界引退を表明したことがきっかけとなった。
バーニー氏の後任には、同じく先住民出身のマラーンディリ・マッカーシー氏を抜擢した。マッカーシー氏は公共放送ABCなどの記者を経て、2016年に北部準州選出の連邦上院議員に転じた。
このほか、パット・コンロイ防衛産業相兼太平洋地域担当相は、所管は同じまま、従来の閣外相から閣内相に昇進した。アルバニージー首相は、オーストラリアに通常兵器搭載型原潜の配備を進める米英豪の安保枠組み「オーカス」(AUKUS)の重要性を反映させたと指摘している。
■ソース
Ministerial arrangements(Prime Minister of Australia)
Who’s in and who’s out after Albanese’s ministry reshuffle? (ABC News)