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オーストラリア航空業界はいったいどうなっているの? 3カ月間に2社相次ぎ破たん

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大手2社が寡占 美味しいシドニー発着枠手放さず

レックスは経営破たん後も小型機による地方路線の運航は継続している(Photo: Wikipedia)

 オーストラリアの航空業界では、4月に運航停止して7月に精算が決まった新興格安航空(LCC)の「ボンザ」に続き、地方に幅広い路線網を持つ業界3位の「レックス・エアラインズ」が7月31日に経営破たんした。小規模な航空会社が苦戦する背景には、①広い国土に対して人口が少ないという問題に加え、②市場を寡占する大手2社が参入を邪魔している、との見方が出ている。

 オーストラリアではこれまで、最大手カンタス航空を除く2位以下のエアラインがことごとく失敗してきた過去がある。例えば、かつてカンタスに次ぐ規模があったアンセット航空は2001年、米同時多発テロの影響で破たん。現在、業界2番手のヴァージン・オーストラリア航空も20年、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)で打撃を受けて会社再生の手続きに入り、その後再建を果たした経緯がある。

 それでも、テロや疫病で需要が急縮小する局面ではないにもかかわらず、3カ月間に2社が相次いで破たんするのは異例の事態だ。公共放送ABC(電子版)によると、航空・観光業界に詳しい専門家は「オーストラリアの航空業界は崩壊している」と警鐘を鳴らしている。

 セントラル・クイーンズランド大学(CQU)のダグ・ドゥルリー教授はABCに「オーストラリアは広大な国土に2,600万人の人口しかいない。その上、日頃から航空機を利用している人は20〜30%にとどまっている。利益を出せる企業を継続させるのは非常に難しい」と指摘した。事業を維持するためにかかる高いコストが航空料金の高騰につながっているという。

 同教授は「レックスはカンタスとヴァージンの(大都市間)路線に参入しようとした。しかし、発着枠やゲートの使用を阻害されているとして、オーストラリア競争消費者委員会(ACCC)に訴えていた。彼ら(カンタスとヴァージン)が(レックスが大都市間ルートに投入した)ボーイング737に門戸を開かなかったのだ」と述べた。

 ACCC委員長を務めた経験があるロッド・シムズ氏も、カンタスとヴァージンの2社による大都市路線の寡占が、レックスの破たんにつながったと断定している。

 シムズ氏はABCに「(2社の)寡占が航空料金の高騰につながった」と述べた上で、レックスが大都市間路線に参入した際、カンタスとヴァージンが株式の過半を持つ企業が、収益性の高いシドニー空港の発着枠を管理していたことが問題だったとの認識を示した。

「(レックスが)発着枠を獲得しようとした時、カンタスとヴァージンにお願いしなければならなかったんだ」(同氏)

 労組も警鐘を鳴らしている。運輸労働組合(TWU)のマイケル・ケイン委員長は「(航空)業界は危機に瀕しており、混乱とカオスの中にある」と述べ、政府に介入を要請している。

 連邦政府は航空業界に関する白書を数週間以内に発表し、長期的に持続可能な改善策を取りまとめる予定だ。

■ソース

Aviation experts say the industry is ‘broken’, with customers and tourism operators paying the price(ABC News)





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