594人解雇、未払いの給与返済まで「数カ月」
公共放送ABC(電子版)によると、経営破たんしたオーストラリア国内第3位の航空会社「レックス・エアラインズ」の管財人を努める大手会計事務所、アーンスト・アンド・ヤングは9日、第1回の債権者集会を開いた。レックスの債務が合計約500万豪ドル(約482億円)、債権者の数が約4,800人にのぼることを明らかにした。
債権者には、給与が未払いのまま解雇された元従業員も含まれる。レックスは運航停止した大都市間路線に従事していた343人を含む合計594人の社員を2日までに解雇。給与を支払えるようになるまでには「数カ月」かかると通達していた。
また、債権者集会では、大都市間路線の再開の見込みがないことも明らかになった。大都市間に就航していた10機のボーイング737は既にリース会社に没収されており、飛ばせる機体がもう1機もない。
一方、小型機で運航を継続している地方路線事業は持続可能との見通しを示した。今後、同部門の買い手を探し、地方に特化したエアラインとして再出発を目指す。
レックスはもともと地方に幅広い路線網を持ち、2020年に大都市ルートに参入した経緯がある。レックスしか飛んでいない地方空港も多いため、遠隔地の移動手段を維持するという社会的重要性が高いことから、連邦政府もレックスの地方路線については積極的に支援する方針だ。
経営危機が浮上したレックスは7月29日、株式市場で取引停止に。30日に州都間路線の予約が停止となり、31日には管財人の下で事業を継続しながら再建を目指す「任意管理手続き」に入っていた。
アーンスト・アンド・ヤングは引き続き、レックスの債務がここまで膨れ上がった原因を調査する。同社は債権者集会で、部品やパイロット不足の可能性も指摘した。
これまでの報道では、レックスが大都市ルートに参入した後、市場を寡占するカンタス航空とヴァージン・オーストラリア航空の2社にシドニー空港の発着枠を十分に分けてもらえなかったことが、破たんにつながったとの見方も出ている。
オーストラリアは西欧や米国本土に匹敵する広大な国土に対して、人口が約2,600万人と欧米と比較して圧倒的に少ない。このため、飛行距離とコストの割に旅客需要が小さく、後発の航空会社が利益を出すのが難しいという構造的な問題も指摘されている。
オーストラリアの航空業界では、約3カ月間に2社が経営破たんするという異常事態となった。今年4月には新興格安航空会社(LCA)の「ボンザ」が経営破たんしたばかり。リース運用の全機を失ったボンザに買い手は現れず、7月に精算が決まっている。
■ソース
Rex Airlines owes money to 4,800 creditors, administrators tell first creditors’ meeting(ABC News)