3都市で合計12人摘発、強制送還
オーストラリア国境警備隊(ABF)はこのほど、同国南部メルボルン空港で日本人2人が持ち込もうとした大量のタバコを押収し、2人の観光ビザを取り消して強制送還したと発表した。
2人の氏名や素性は未公表。ABFによると、7月24日に1人が紙巻きタバコ3万4,400本、もう1人が同3万5,900本を旅行カバンの中に隠し持ち、それぞれ入国しようとしたが、X線検査で発覚した。一般的な20本入り換算で3,515箱と私用目的にしては多すぎるため、密輸入であることは間違いなさそうだ。脱税金額は推定8万9,854豪ドル(約890万円)とされる。
オーストラリアではこのところ、日本人による大量のタバコ持ち込みが摘発されるケースが相次いでいる。東部シドニー空港では7月5日、合計33万本のタバコを不正に持ち込もうとした日本人9人が入国を拒否された。西部パース空港では7月30日、3万4,000本以上のタバコを申告せずに持ち込もうとした日本人1人が同様に強制送還された。
いずれのケースでも強制送還の航空券代は本人負担。ABFによると、密輸が発覚した場合、大量のタバコが没収されるだけではなく、ビザが取り消されると最長3年間、オーストラリアに再入国できなくなる。
オーストラリアでは、喫煙者を減らすためにタバコ税を毎年引き上げてきた結果、一般的な25本入り紙巻きタバコの小売価格が1箱当たり40〜50豪ドルまで高騰している。このため、海外から密輸された違法タバコの闇市場が拡大。犯罪組織の資金源になるなど社会問題化している。
現在、18歳以上の個人がオーストラリアに無税で持ち込めるタバコは「25本までの未開封のタバコ1箱(または25グラムのタバコ製品に相当するもの)及び開封済みのタバコ1箱」(在日オーストラリア大使館ウェブサイト)と厳しく制限されている。この免税枠を超えたタバコ製品を持ち込む場合、申告義務があり、高額の税金を支払う必要がある。申告を怠れば、悪質なケースであれば、重い罰金を課されたりビザを取り消されて入国を拒否されたりする場合がある。
日本人が相次いで摘発された3つの事件の背景は不明だが、仮に「オーストラリアにタバコを運んだら報酬を払う」といったバイト話があっても、安易に応じれば痛い目に遭いそうだ。
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