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オーストラリア経済に試練 成長率は90年代リセッション以来最低

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4-6月期実質GDP、前期比0.2%増、前年同期比1.0%増

オーストラリアの実質GDPの推移。折れ線グラフは実数値(右軸)、棒グラフは前期比の成長率(左軸)(出典:オーストラリア統計局)

 オーストラリアの経済成長が、コロナ禍の特殊要因を除くと32年ぶりの低水準に沈んでいる。生活コスト高騰と高金利を背景に国内総生産(GDP)の約半分を占める個人消費が落ち込む一方、政府の財政支出と移民流入による人口増加によってかろうじてプラス成長を維持している格好だ。

 オーストラリア統計局(ABS)が4日発表した4-6月期の実質国内総生産(GDP)の成長率(季節調整済み)は、前期比で0.2%と市場予想の0.3%(ロイター通信)を下回った。前年同期比では1.0%と前期の1.1%からスローダウンした。

 2023-24年度(23年7月〜24年6月)の通年の成長率は1.5%にとどまった。これは、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)時の特殊要因を除外すれば、1991年のリセッション(景気後退=2期連続のマイナス成長)からの回復途上にあった91-92年度以降で最も低い伸びとなった。

 1人当たりのGDP成長率はマイナス0.4%と6四半期連続でマイナス成長を記録。「パー・キャピタ・リセッション」(1人当たりベースの景気後退)が長期化している。オーストラリアでは、少子高齢化で人口が減少している日本と異なり、おおむね3年間で100万人のペースで人口が増えている。このため、成長のスピードが人口増を上回らなければ、実質的には経済が縮小していると捉えることができる。

 項目別では、GDPの約半分を占める個人消費(家計支出)が前期比で0.2%減とGDP全体を0.1ポイント押し下げ、デルタ株のロックダウンで打撃を受けた21年7-9月期以降で最低を記録した。ぜいたく品消費に相当する「裁量的支出」が1.1%減少した一方、生活必需品への支出は0.5%増加した。ABSによると「家賃やほかの住居費が上昇したとともに、人口が引き続き増加した」ことが要因だという。

 一方、政府部門の支出は前期比1.4%、前年同期比4.7%といずれも伸びている。

 公共放送ABC(電子版)によると、エコノミストからは「生活コスト高騰の圧力と高い金利によって経済は身動きが取れなくなっており、政府支出と人口増加で浮上している状況だ」(大手求人サイト、インディードのカラム・ピッカリング氏)との指摘が出ている。

■ソース

Australian economy grew 0.2 per cent in June Quarter(ABS)

Australia’s economy growing at slowest pace since 1990s recession, as households cut back on spending(ABC News)

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