震源はワイン産地ハンター・バレー
オーストラリア有数のワイン産地として知られる東部ニューサウスウェールズ州のハンター・バレーで、有感地震が相次いでいる。公共放送ABC(電子版)によると、シドニーから直線距離で約180キロ北に位置する同地区のマスウェルブルックで8月23日、マグニチュード4.7と4.5の2つの地震が連続して発生。7日にも4.5の地震があった。
いずれも人的被害は報告されていないが、先月の地震ではシドニーでも揺れを感じた人がいたという。
ABCによると、マスウェルブルックには資源大手BHPが操業する同州最大の露天掘り石炭鉱山がある。地震学の専門家は、石炭採掘が地震の原因かどうかは不明だとしている。地震観測を行っている連邦政府機関「ジオサイエンス・オーストラリア」のトレバー・アレン博士はABCに次のように述べた。
「地震はオーストラリアのどこでも起こり得ます。プレート境界の力がオーストラリア大陸に作用し、オーストラリアの岩盤にストレスを与えます。長い時間をかけて岩盤がストレスを受けると、弱い部分が次第に壊れるのです」
アレン博士によると、石炭採掘が影響を与えた可能性は否定できないものの、詳しい調査が必要だという。ジオサイエンス・オーストラリアは震源地付近に観測機器を設置してデータを収集し、地震の詳しいメカニズムを分析する。
「例えば、南アフリカでは地震の9割に鉱山が関係していると見られています。採掘活動がたくさんの岩盤を動かすからです」(アレン博士)
オーストラリア大陸は巨大地震を引き起こすプレート境界からは離れているが、小規模な地震は日常的に発生している。ただ、植民地建設が始まった18世紀以降の記録が残る範囲では、1989年に建物の崩壊で13人の犠牲者を出したニューキャッスル地震(マグニチュード5.6)を除き、震災はほとんど起きていない。
■ソース
Is coal mining causing the ‘earthquake swarm’ hitting NSW’s Hunter Region?(ABC News)