アルバニージー首相は「16歳以下禁止」検討
オーストラリアでは、一定の年齢を下回る児童・生徒のソーシャル・メディア*の使用を禁止する動きが出ている。フェイスブックやインスタグラム、ティックトック、X(旧ツイッター)などのアプリやサイトが、子どもの依存症やいじめ、拒食症を誘発するなど精神的な健康を害しているとされるためだ。
メディア大手ニューズのウェブサイトによると、アンソニー・アルバニージー首相は10日、ラジオのインタビューに答え、禁止年齢の上限を14歳から16歳の幅で設け、今年中に実施する方針を明らかにした。首相自身は16歳としたい考えだ。
最大野党自由党のピーター・ダットン代表もすでに、政権交代を実現した場合は100日以内に16歳規制を導入すると表明している。南オーストラリア州も14歳以下の利用を禁止する法案の原案を発表するなど、各州政府も規制を検討している。
アルバニージー首相は「8つの異なるシステム」が併存する状況は避けたいとしており、各州・準州政府が異なる規制を行うのではなく、全国で統一したい意向だ。連邦政府は650万豪ドルを投じてソーシャル・メディアのサイトで年齢確認を行う実証実験を行っている。この結果を踏まえて制度設計を行うと見られる。
専門家によると、フェイスブックやティックトック、Xは現在、13歳以上の利用を求めているが、これは米国のデータ収集に関する法律によるもので、精神的な健康への影響を考慮したものではないという。
神経科学者のセレナ・バーレット教授(クイーンズランド工科大学)はニューズに「子どもの脳は大人に成長していく過程にあり、衝動的な行動や間違った判断、依存に陥りやすい。脳は女性で22歳、男性で25歳になるまで完全に成長しないのです」と語った。子どもは大人より有害な情報に脆弱だというわけだ。
オーストラリア国立大学(ANU)の研究によると、ソーシャル・メディアを利用しているイヤー10(第10学年=高校1年生)とイヤー11(高校2年生)の生徒は、人生に対する満足度がより低いとの調査結果が出ているという。
*日本で一般的な「SNS」は和製英語であり、英語圏のオーストラリアでは通じません。「ソーシャル・メディア」呼ばれています。
■ソース
Everything you need to know about the social media age ban in Australia(news.com.au)