規制当局ACCCが連邦裁判所に提訴
オーストラリア競争消費者委員会(ACCC=エートリプルシー=公正取引委員会に相当)は23日、同国のスーパーマーケット業界を寡占するウールワースとコールズの2社が不正な安売りキャンペーンを行っていたとして、連邦消費者法違反の疑いで連邦裁判所に提訴すると発表した。
ACCCによると、2社はいったん値上げした商品を安売りと見せかけ、値上げ前より高い価格で販売するなどの手法で、組織的に消費者を欺いたという。ウールワースは2021年9月〜23年5月の20カ月間にわたって266の商品について、コールズは22年2月〜23年5月の15カ月間に245の商品について、それぞれ不正行為を突き止めた。
ACCCのジーナ・キャス−ゴットリーブ委員長は声明で「ウールワースとコールズによる長年の販促活動で、オーストラリアの消費者は「プライセズ・ドロップド」(ウールワースの安売りキャンペーン)や「ダウン・ダウン」(コールズの安売りキャンペーン)によって、商品の定価が引き下げられていると信じ込んでいた。ところが、私達はこれらのキャンペーンの価格が、以前の定価より高いか同じ価格で販売されていたと疑っている」と述べた。
調査の結果、ACCCは2社が消費者を誤った認識に導いたとして、連邦消費者法に抵触しているとして提訴に踏み切った。
調査会社アイビスワールドによると、オーストラリアのスーパー業界のシェア(24年)は、ウールワースが38.2%、コールズが29.0%と上位2社で7割弱を占める。強い立場を利用した不当な商取引がかねてから問題視されてきた。
コロナ禍からの経済再開の混乱時には、2社がインフレに便乗して不当に値上げしたとの疑いも持たれている。ACCCは今年1月、連邦財務省の指示を受け、この問題についても今回の提訴とは別に調査を継続している。
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