待望の利下げ開始は早くて来年2月以降
日本を除く世界の主要国は利下げに傾斜しているが、オーストラリアの中銀は景気がまだ十分に冷めていないとして、利下げ開始に慎重だ。豪準備銀(RBA)は4〜5日に開いた会合で、政策金利を4.35%で据え置くことを決めた。
RBA理事会が5日発表した。据え置きは0.25ポイント利上げした1年前の2023年11月以降で8会合連続。マーケットの予測通りでサプライズはなかった。
理事会は声明で「ヘッドラインのインフレ率(消費者物価指数=CPI=総合)は7-9月期に(前年同期比)2.8%と4-6月期の3.8%から鈍化した。しかし、これは燃料代と電気料金の下落によるもので、予期されていた」と指摘した。
その上で理事会は「これらの影響を取り除いた基調インフレ率(トリム平均値)は3.5%と、インフレ目標(2〜3%)の中心値2.5%までの道のりはまだ長い」と据え置きの理由を説明した。基調インフレが目標の半ばまで戻るのは2026年になる見通しだという。
オーストラリアで住宅ローンを支払っている世帯の割合は全世帯のおよそ3分の1を占める。変動金利型住宅ローンが主流となっているため、高金利で毎月の返済金額が増えている世帯の財布は火の車だ。折からの生活コスト高騰でダブルパンチに苦しむ生活者は、早期の利下げ開始を待ち望んでいる。
しかし、依然としてインフレがしつこく、労働市場もタイト(需給がひっ迫)な状態にあることから、市場では年内利下げの観測は遠のいている。RBAは12月9〜10日に今年最後の会合を開くが、大半のエコノミストは、利下げ開始は早くても新年1回目の会合となる2月17〜18日以降になるとの見方に傾いている。
■ソース
Statement by the Reserve Bank Board: Monetary Policy Decision(RBA)