米国第一「内向き」けん制の狙いも
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は6日、声明を発表し、米国のドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を歓迎するとともに、インド太平洋地域での豪米の経済、安保協力を強化したいとの考えを表明した。
アルバニージー首相は声明で「私たちは、豪米の力強い経済的パートナーシップによる恩恵を実現するため、トランプ新政権と緊密に協議していく。米国は長年、インド太平洋地域の安定と安全においてリーダーシップを発揮してきた。オーストラリアは地域における豪米2カ国の協力をいっそう強化したい」と述べた。
その上で首相は「豪米は古くからの同盟関係にあり、真の友人だ。私たちは、犠牲の歴史と共通の価値へのコミットメント、そして何よりも国民の間の尊敬と愛情の念によって強い絆で結ばれている」と強調した。
オーストラリアでは、米国第一主義や保護貿易的な姿勢、体外軍事支援の縮小など「内向き」に傾くトランプ氏の再選を警戒する見方がある。アングロサクソン陣営の一員としてほとんどの米国の戦争に参戦してきたオーストラリアは、安保面で米国と一蓮托生の同盟国。米国がインド太平洋地域で軍事的プレゼンスを弱めれば、オーストラリアは梯子を外された格好になる。
経済面では、トランプ氏が対中関税を引き上げて貿易戦争が激化した場合、中国を最大の輸出相手国とするオーストラリアへの影響は免れないとの見方も出ている。
こうした懸念を踏まえ、首相は周辺地域での豪米の経済・安保協力の重要性を強調することで、地域への米国のコミットメント低下をけん制した形と言えそうだ。
■ソース
Statement from the Prime Minister(Prime Minister of Australia)