実現すればシドニー−ニューキャッスル間30分
オーストラリアの人口(約2,700万人)の約半数が集中する東海岸の3大都市を高速鉄道で結ぶ構想が、将来の実現に向けてようやく動き出した。キャサリン・キング連邦インフラ・交通・地域開発・地方政府相は5日、連邦政府の高速鉄道局(HSRA)がルートを選定するための掘削調査を始めたと発表した。
調査を開始したのは、東部の最大都市シドニーから北東へ直線距離で117キロ離れた地方都市ニューキャッスルを結ぶルート上の2カ所。シドニー北方ホークスベリー川と、同ゴスフォードの湾内にそれぞれ艀(はしけ)を組み立てる。そこから、最深140メートルの穴を合計6つ掘り、集めた岩石や堆積物のサンプルを調査。建設方法、トンネルの設計や深さなどを検討する。今後、シドニー−ニューキャッスル間の合計27カ所で掘削調査を行う計画だ。
全体構想は、北東部ブリスベンから東部シドニーを経由して南部メルボルンに至る約2,000キロ。各都市はおおむね900キロ以上離れている。このうちシドニー−ニューキャッスル間は、第1期工区と位置付けられている。シドニー・セントラル駅からニューキャッスル駅までは州営鉄道で2時間30分前後かかっているが、高速鉄道が実現すれば30分で結ばれる。同区間の利用客数は年間1,490万人と国内の都市間鉄道路線としては最も混雑しているという。
2022年の連邦選挙で高速鉄道構想を掲げたアンソニー・アルバニージー首相の労働党政権は、シドニー−ニューキャッスル間の調査費として5億豪ドル(約500億円)を拠出するとともに、全体構想の実現を念頭にHSRAを設立した。
キング連邦インフラ相は声明で次のように述べ、移動時間の短縮による都市圏拡大のメリットを強調した。
「高速鉄道は数世代にわたりオーストラリアの地方に新たな機会を創出する。より幅広い地域でより多くの雇用を生み出し、住まいや職場、学校、遊びの場所の選択肢がより広がる。私たちの高速鉄道への投資は、今後数十間の国の形を変えることにつながるだろう」
■ソース
Work underway to determine high-speed rail route(The Hon Catherine King MP)