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「ディンゴはイヌとは違う独立した種。保護すべきだ」

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研究者がディンゴの生物分類で新説

 生物分類学研究者が、「ディンゴは飼い犬でもなければ野犬でもない独立した種。もっとも保護措置を講ずるべきだ」と新説を唱えている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 動物分類学学術誌「Zootaxa」に掲載された研究論文で、研究グループは、動物の外形、頭蓋骨構造、遺伝子、音声コミュニケーション、行動などの要素を分析し、ディンゴを独立した種と結論づけている。

 例えば、吠えるという行動はすべてのイヌ科動物で見られることだが、ディンゴは脅威と感じた時や「集団コーラス」の場面では吠えるが、仲間同士のじゃれあいで吠えることはしない。それに対して、飼い犬は、敵対的行動、警戒、採餌時、さらには孤独を感じた時など、ほとんどどんな場合にも吠える。

 同研究グループは、「ディンゴは5,000年から10,000年ほど前に、現代の犬種の頻繁な品種改良や多様化が起きる前に枝分かれした古代の犬種」と結論している。

 論文の共著者、フリンダース大学のコリー・ブラッドショー教授は、「ディンゴが独立種だということについてもう曖昧なところは何もない。これまでディンゴは一般的なイヌとか普通の野犬というふうに見られてきたが、紛れもなくオーストラリア原産の犬種であり、何千年もの歴史を持っている」と述べている。

 研究チームはその結論を確信しているが、一方で、「ディンゴはオーストラリアの哺乳動物の中では分類学的にもっとも曖昧な位置づけをされてきた種ではないか」と述べている。

 しかし、最近になってオーストラリア博物館は、ディンゴは独立種ではなく、4,000年ほど前に人間がオーストラリアに連れてきた古代の飼い犬の野生化したもの」と結論したばかり。

 2018年、WA州の新法で、「ディンゴは野犬の一種と見なされており、従って地域によっては許可なく罠を仕掛けたり、捕殺することができる」が、もし、ディンゴがオーストラリア原産とされて保護しなければならないことになれば法律を書き換える必要が出てくる。また、SA州政府はディンゴ・フェンスの改築費は2,500万ドルにのぼると概算している。
■ソース
Dingoes are a ‘fair dinkum’ separate species needing better protection, researchers say

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