ダーウィン日米豪防衛相会談で設立発表
オーストラリア訪問中の日本の中谷元防衛相と米国のロイド・オースティン国防長官、オーストラリアのリチャード・マールズ連邦副首相兼国防相は17日、北部ダーウィンで日米豪防衛省会談を行った。3者は会談後に共同声明を発表し、3カ国の安保協力を拡大する「日米豪防衛協議体」を設立したことを明らかにした。
声明は、東シナ海や南シナ海で周辺国との緊張を高めている中国の活動を念頭に、地域の安定や抑止力を支える防衛協力を共同で推進すると強調。「3カ国のパートナーシップが地域の安定を堅持するために果たす重要な役割を認識し、我々は、3カ国の政策調整にコミットするとともに、地域の安全保障問題及び緊急事態について協議することにコミットする」と表明した。
その上で声明は「平時から緊急事態に至るまで、自衛隊、豪軍及び米軍の政策上及び運用上の目標の整合を支援するための『日米豪防衛協議体』(Trilateral Defence Consultations)の設立を発表する」とした。
また、3カ国の日米、日豪のそれぞれの演習を3カ国化することなどを通して、「豪軍及び米国との3カ国の相互運用性を向上させることによる、豪米戦力態勢協力活動への日本の参加増大を歓迎する」と指摘した。
米国と日本は日米安保条約、米国とオーストラリアはアンザス条約(オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ合衆国安保条約)を通して、それぞれ個別に軍事同盟を結んでいる。
一方、日本とオーストラリアは互いに防衛義務を負う同盟関係にはないが、近年は民主主義陣営の西太平洋の南北軸として、「自由で開かれたインド太平洋」を目指して連携を強化してきた。2022年10月には「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を改訂し、有事の対応にも言及。「準同盟」と言われる緊密な関係を構築している。
3カ国間の防衛協議体の設立は、従来の「ハブ・アンド・スポーク」(米国を軸に放射状に広がる同盟関係)から、ネットワーク型の「3国同盟」に近い安保協力体制を目指すアプローチとして注目されそうだ。
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