「構造的変化を経済的チャンスに変える」と連邦財務相
オーストラリア連邦財務省は21日、国内総生産(GDP)の1割弱に相当する2,297億豪ドル(約23兆円)規模の政府系ファンド「未来基金」(フューチャー・ファンド)の資産を脱炭素事業や住宅建設に投資する計画を発表した。ファンドの設立目的は高齢化を見据えて公務員の退職年金の資金を確保することにあったが、趣旨を大きく変える。
化石燃料から温室効果ガスを排出しないクリーン・エネルギー主導の経済システムに転換するグリーン・トランスフォーメーション(GX)の推進剤とし、深刻な住宅難を解消するため住宅供給の拡大も目指す。加えて、経済成長や安全保障に資するインフラにも投資する。
ただし、32-33年度まではファンドから資金を引き出さないとしており、中長期的な取り組みとなる。
ジム・チャーマーズ連邦財務相は声明で「オーストラリア経済は世界的な温室効果ガス排出実質ゼロの動きや技術的、地政学的な変動、地域の分断といった構造的な変化に直面している。フューチャー・ファンドはそれらの経済的チャンスから利益を得て、オーストラリアの繁栄を支える重要な役割を果たしてくれるだろう」と強調した。
政府系ファンドは、国家の金融資産を運用する投資ファンドで「ソブリン・ウェルス・ファンド」(SWF)、国富ファンドなどとも呼ばれる。フューチャー・ファンドは2006年、当時の保守連合(自由党、国民党)政権が設立した。
その後18年間で、消費者物価指数(CPI)を年平均で4〜5ポイント上回る運用成績の目標をクリアし、資産総額は当初の605億豪ドルから約3.8倍に拡大した。連邦財務省の試算では、32-33年度にはさらに3,800億豪ドルまで増える見通しだという。
■ソース
Future of the Future Fund(The Hon Dr Jim Chalmers MP, Treasurer)