国内最大級の自然災害 66人が犠牲に
1974年のクリスマスの日、オーストラリア北部ダーウィンに上陸し、国内で史上最大級の被害をもたらしたサイクロン「トレイシー」の上陸から50年。ダーウィン市内イースト・ポイントにある公園では25日、犠牲者を追悼する式典が開かれた。公共放送ABC(電子版)によると、遺族や市民ら数百人が参加した。
式典でスピーチしたアンソニー・アルバニージー首相は「50年前、サンタクロースとクリスマスの夢を見て眠りについた子どもたちは悪夢によって目覚めた」と語った上で、「試練がどんなに大きくても、私たちはともに立ち向かい、ともに労る」と述べ、壊滅的打撃を受けた街の復興に尽力したダーウィン市民とオーストラリア国民を称賛した。
豪気象局(BOM)の記録によると、トレーシーは74年12月24日に北方のバサースト島をかすめた後、急に東に向きを変えてダーウィン市街地を直撃した。25日午前3時ごろに上陸。暴風域は半径50キロと比較的小さかったが、ダーウィン空港の最大瞬間風速は時速217キロ(秒速60.3メートル)と非常に風力の強いサイクロンだった。
警報は発令されていたが、BOMによるとクリスマス休暇が重なったこともあって、事前の避難など備えが十分ではなかったという。当時は建物の強度も低かったため、強風で多くの家がなぎ倒されるなど市街地は壊滅的な打撃を受けた。市内で45人、海で21人の合計66人が犠牲となり、山火事を除くとオーストラリアでは最大の自然災害となっている。
■ソース
Cyclone Tracy memorial pays tribute to survivors’ ‘unbreakable spirit’(ABC News)
Remembering Cyclone Tracy, Speech(Prime Minister of Australia)