「米国で成功してもオーストラリアでは無名」と専門家
米ハンバーガー・チェーン大手「ウェンディーズ」が15日、オーストラリア1号店をオープンする。ただ、オーストラリアのファストフード業界は、米マクドナルドや豪ハンバーガー・チェーン「ハングリー・ジャックス」などの強豪がしのぎを削っている。新規参入のよそ者が店舗網を拡大するのは簡単ではない、との見方が出ている。
「北米などの巨大市場で既に成功していても、オーストラリアに来れば無名。一からスタートしなければならない」−−。オーストラリアの金融コンサルタント会社「ウィルソン・アドバイザリー」のジェームズ・フェリアー氏は、経済紙「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」(AFR)にこう指摘した。1号店は注目を集めるかもしれないが、5店舗、10店舗となってくると、継続して消費者を惹きつけるのは難しいという。
AFRによると、米ハンバーガー・チェーン「カールスジュニア」は2016年にオーストラリアに進出し、当初は10年間で300店舗の出店を目指したが、現時点で28店舗にとどまる。グルメ・ハンバーガーの米「ファイブ・ガイズ」は21年にオーストラリア1号店をオープン。現在の出店数は5店舗となっている。
日本勢では、外食大手モスフードサービスが11年に北東部クイーンズランド州にモスバーガーをオープンした例がある。6店舗まで拡大したが、昨年9月までに全店舗を閉鎖し、オーストラリア市場から完全撤退している。
ハンバーガーは特に競争が激しい
調査会社アイビスワールドの推計(グラフ1)によると、2024-25年度のオーストラリアのファストフード業界の売上高は前年度比0.7%増の253億1,810万豪ドル(約2.5兆円)。商品のタイプ別では、ハンバーガー(約107億豪ドル)が全体の42.1%と圧倒的に多く、フライドチキンなどの鶏肉(約51億豪ドル=20.2%)、ピザ(41億豪ドル=16.0%)などが、これに続いている。
また、企業別シェア(グラフ2)を見ると、マクドナルド(22.5%)、ハングリー・ジャックスを展開する「コンペティティブ・フーズ」(9.5%)、KFCをフランチャイズ運営する米「ヤム!レストランツ」(8.7%)などが上位を占めている。
ハンバーガー・チェーン世界3位のウェンディーズといえども、オーストラリアで並みいるライバルを押し退けてシェアを拡大できるのか。注目される。
■ソース
Wendy’s takes on burger rivals with first Australian store in decades(Australian Financial Review)
Industry Report H4512 Fast Food and Takeaway Food Service in Australia(IBISWorld)