害虫や疫病からオーストラリアを守るワン! 検疫探知犬、最前線で活躍

SHARE

嗅覚は人間の数万倍以上

検疫探知犬としてブリスベン空港に配属されたばかりの1歳のラブドール・レトリバー「ユズ」(Photo: Department of Agriculture, Fisheries and Forestry)

 オーストラリアで検疫探知犬として活躍するラブラドール・レトリバーの「ユズ」と「クライド」。いずれも1歳で子犬のあどけない表情を残しているが、国の訓練課程を昨年12月に修了して見事に合格。北東部ブリスベンの税関に配属され、害虫や疫病の侵入を防ぐ任務に就いている。

 周囲を海に囲まれたオーストラリアは独自の生態系を有するため、外来の害獣・害虫、疫病に非常に脆弱だ。それらが少しでも侵入すれば、国内の農業や畜産業に打撃を与え、自然環境や生物多様性を破壊しかねない。

 このため、検疫探知犬の役割は非常に重要だ。人間の数万倍から数十万倍とも言われる優れた嗅覚を武器に、空港や港湾、国際郵便の集配施設などで手荷物や郵便物などを嗅ぎ分けることができる。オーストラリア連邦農林水産省によると、2024年の1年間に検疫探知犬が水際で見つけたリスクの高い品物の数は4万2,000個以上に達したという。

ユズとともにブリスベン空港でスーツケースを嗅ぎ分ける「クライド」(Photo: Department of Agriculture, Fisheries and Forestry)

 ユズとクライドは、オーストラリア連邦政府が1,170万豪ドル(約11億5,000万円)の予算を投じて新たに導入している検疫探知犬20頭のうちの2頭。バディーを組むハンドラー(検疫探知犬を扱う人)20人も採用している。連邦農林水産省は23年の時点で46頭を運用していたが、20頭の追加によって規模を約1.5倍に拡大する。

 ジュリー・コリンズ連邦農林水産相は「政府は23年と24年に予算を増やし、空港や港湾、配送センターに届くバイオセキュリティー(家畜や農産物への害虫や疫病の侵入を防ぐ取り組み)上のリスクが高い品物を探知する能力を高めてきた。検疫探知犬20頭とハンドラー20人を新たに運用することで、バイオセキュリティーの脅威に立ち向かう力を向上させている」と述べた。

ハンドラーとバディーを組む「ユズ」(左)と「クライド」。空港で見かけたら任務に協力し、温かく見守ってあげたい(Photo: Department of Agriculture, Fisheries and Forestry)

■ソース

Joint media release: 20 detector dogs recruited to safeguard our ag industry(The Hon Julie Collins MP, Minister for Agriculture, Fisheries and Forestry)

SHARE
Google Adsense
[the_ad_placement id="single-new-bottom"]