120万戸新築達成に向け、次世代の職人育成
公共放送ABC(電子版)によると、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相(労働党)は24日、住宅建設現場で働く見習い作業員に1人当たり1万豪ドル(約98万円)の手当を支給すると発表した。次世代の建築職人を育て、住宅難の解消を図る狙いがある。
首都キャンベラのナショナル・プレス・クラブで行ったスピーチで明らかにした。今年5月17日までに実施される次期連邦選挙に向けた公約の一環。選挙に勝利して2期目の再選を果たした場合に実行する計画だ。
手当には6億2,690万豪ドルの予算を投じる。6万人以上を対象に、見習い期間中に5回に分けて2,000豪ドルずつ支給する。加えて、実家を離れて生活している見習い作業員への手当(現行1週間当たり77.17豪ドル)も引き上げる。引き上げ幅は明らかにしなかった。
オーストラリアでは、住宅需要に対して供給が不足しているため、不動産価格や家賃が高騰している。特にコロナ禍後は経済再開で移住者が急増したことから、住宅難が社会問題になっている。アルバニージー政権は、対策として購入しやすい価格の住宅など5年間で合計120万戸を新たに建設するとしているが、人手不足やインフレもあり実現が危ぶまれている。
首相はスピーチで「現在、1年目の大工見習いは、最低賃金の約3分の2しか稼げていない。もっと低い賃金で働いている見習いもいる。スーパーマーケットの棚に商品を補充する作業の方がより多く稼げる。たくさんの見習い作業員が、生活できないという単純な理由でやめていくのだ」と述べた。
ただ、手厚い支援策によって多くの人材を呼び込めるかどうかは不透明だ。アルバニージー政権は1万豪ドルの同様の手当を「グリーン・ジョブ」(脱炭素関連の作業員)の見習いに支給しているが、ABCによると受給者は2,200人にとどまっているという。
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