日本とはこんなに違う! オーストラリアの特殊な選挙制度とは?

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候補者全員に優先順位 投票サボれば罰金も!

 オーストラリアでは、今年5月17日までに次期連邦選挙が行われる。任期3年の下院の全議席と、任期6年の上院の約半数を改選する。オーストラリアの政治制度は、英国王を象徴的な元首とする「立憲君主制」や、選挙で最多議席を獲得した党の代表が首相を務める英国式の「議院内閣制」など日本と共通点も多い。しかし、特殊な選挙制度や義務投票、二大政党が政権交代を繰り返す政治体制は、日本と大きく異なる。

 オーストラリアの選挙制度の最大の特徴は、特殊な「優先順位付連記投票制」(主に連邦下院)を採用していることだろう。

 優先順位付連記投票制では、有権者は投票用紙の全候補者に優先順位を付ける。いずれも過半数に達しない場合、最下位を除外した上で、優先順位に応じて2位以下の候補者に得票を振り分けていく。1人の候補者が過半数に達するまで同じ作業を繰り返す。

 落選者に投じられた「死票」を可能な限り減らすメリットがあるとされる。しかし、開票作業に大変な時間と労力がかかるため、大接戦になって勝敗が決まるまで数週間かかり、政治的空白が生まれたケースも過去にある。

 この制度には、小政党への得票が二大政党に集約されやすいという特徴もある。このため、世論調査では、各党別支持率よりも二大政党別支持率が実際の選挙結果に近くなる。労働党と保守連合間の「スウィング」(前回選挙と比較した得票の増減率)が勝利を左右する要素となる。

 加えて、投票を怠れば罰金が命じられる「義務投票制」も日本と大きく異なる点だ。投票率がおおむね9割ときわめて高いことから、労組や業界団体といった組織票よりも、支持政党を持たない浮動票が強くなる。このため、中道左派の労働党も中道右派の保守連合も、ともに政策が真ん中に収れんする傾向が強い。

 特に近年は、いずれの勢力も無党派層をターゲットに似たような施策を掲げ、イデオロギーの違いが見えにくくなっている。実際の連邦選挙の結果も、シドニー西部をはじめとする無党派層が多い大都市近郊の接戦区の情勢が、勝敗を決するケースが多い。

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