住宅ローン支払い、月1万円減るよ! オーストラリア中銀、いよいよ2月利下げ濃厚に

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10-12月期コアCPI上昇率3.2%、インフレ目標もうすぐ

オーストラリアにおける過去10年間のCPI上昇率の推移(折れ線グラフは前年同期比、棒グラフは前期比)(出典:オーストラリア統計局)

 オーストラリア統計局(ABS)は29日、四半期の物価統計を発表した。これによると、2024年10-12月期の消費者物価指数(CPI)は前期比0.2%上昇し、市場予測(0.3%上昇=ロイター通信)を下回った。コロナ感染拡大直後の20年4-6月期以降で最低だった前期と同じだった。前年同期比では2.4%上昇と7-9月期(2.8%上昇)から減速した。

 インフレ沈静化は、生活コスト高騰に苦しむオーストラリア在住者にとっては良いニュースだ。オーストラリアのCPI上昇率がピークアウトしたのは22年10-12月期(7.8%上昇)。それから2年、インフレはようやく約3分の1の水準まで下がってきた。

 中央銀行・豪準備銀(RBA)が金融政策を決める上で重視するCPIの「トリム中央値」(極端な価格変動を除いた値=主要国のコア・インフレ率に近い)の上昇率も、前年同期比3.2%と前期の3.6%からスローダウンし、RBAのインフレ目標「2〜3%」の上限に近づいてきた。

 オーストラリアのインフレ圧力が十分に低下していることが確認されたため、RBAが2月に開く次の会合で、政策金利(4.35%)の引き下げを開始するとの観測が強まった。ロイターは「RBAが2月18日に政策金利を0.25ポイント引き下げる確率は80%」と報じた。

対インフレ戦、勝利は近い!?

 RBAは2022年5月、経済再開や供給制約などで生じた急激なインフレを抑制するため、当時0.10%と史上最低水準だった同金利の引き上げを開始。23年11月以降、1年以上にわたって現行水準で据え置いていた。

 日本を除く主要国の中銀がそろって政策金利の引き下げに傾斜する中、RBAはこれまでインフレ再燃を懸念して利下げを躊躇していた。インフレとの戦いへの勝利と景気のソフトランディング(軟着陸)が視野に入る中、利下げ開始となれば金融政策の大転換点となる。

 オーストラリアでは変動金利型の住宅ローンが一般的で、住宅ローンを支払っている世帯は全体のおおむね3分の1と多い。このため利下げはコスト高騰で疲弊する生活者の財布を潤し、減税と同様の景気刺激効果をもたらす。

 29日付の日刊紙「デイリー・テレグラフ」によると、全国平均の住宅ローン(64万1,416豪ドル=約6,200万円)を返済中の世帯の場合、金利が0.25ポイント低下すると月々の支払いが103豪ドル(約1万円)減るという。

 ただ、利下げの影響で需要が拡大すれば住宅価格が上昇し、頭金が増えてマイホームの夢がますます遠のく。同紙はそんなネガティブな側面も指摘している。

■ソース

CPI rises 0.2% in the December 2024 quarter(ABS)

Australia inflation cools in Q4, opens door to rate cut(Reuters)

Swing in living costs opens door for rate cut – with a catch(Daily Telegraph / realestate.com.au)

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