業界1位と2位の巨大再編 2月新会社発足
オーストラリアの医薬品小売・卸売大手「シグマ・ヘルスケア」は29日、メルボルンで臨時株主総会を開き、安売り薬局チェーン最大手「ケミスト・ウェアハウス」との合併案を賛成多数で承認した。ケミスト・ウェアハウス(非上場)の株主も同日夜、議決して賛成する見通し。これを受けて両社は2月12日に合併を完了する。新会社の株式は翌13日からオーストラリア証券取引所(ASX)で取引される。薬局業界でシェア約4割を握り、オーストラリアを代表する巨大小売企業が生まれる。
業界1位と2位の巨大再編。シナリオはシグマが2023年12月に発表していた。「スキーム・オブ・アレンジメント」と呼ばれる裁判所主導の友好的買収の手法を用い、企業規模が小さい上場企業のシグマが、はるかに大規模な非上場企業のケミスト・ウェアハウスを「逆さ合併」(リバース・テイクオーバー=RTO)する形を採る。
株式交換により、新会社の85.75%をケミスト・ウェアハウス株主が、14.25%をシグマ株主が握る。ケミスト・ウェアハウスの2つの共同創業家が49%を所有する一方、シグマの現在の会長と最高経営責任者(CEO)がともに新会社の会長とCEOに就き、経営を主導する。
合併案をめぐっては、独占禁止規制当局のオーストラリア競争消費者委員会(ACCC)が昨年11月、「反対しない」と表明。シグマ取締役会も全会一致で株主に承認を呼びかけていた。合併案の発表後の約2年間で、シグマの株価は約3倍上昇しており、合併は株主の利益に合致するとの観点から、株主総会での承認も既定路線となっていた。
合併承認に先立ち、シグマは28日、ケミスト・ウェアハウスの2024-25年度上期(24年6月〜12月)の決算を発表した。売上高は51億5,400万豪ドル(約5,020億円)と前年の同じ時期と比べて13.0%増、税引き前利益は4億3,680万豪ドルと36.1%増と増収増益を記録した。
合併前のケミスト・ウェアハウスの好決算を受けて、シグマの株価は急騰した。28日のシドニー市場(ASX)では、前日比で12.59%高い3.04豪ドルで取引を終了している。
■ソース
Chemist Warehouse hits record $5.1b in sales ahead of Sigma merger(ABC News)
Why did the ACCC approve the Chemist Warehouse merger with Sigma Healthcare?(ABC News)