ヘルシー志向や高齢化追い風に
最大手「ケミスト・ウェアハウス」と2位「シグマ・ヘルスケア」の合併により、シェア4割の巨大企業が生まれるオーストラリアの医薬品小売業界。調査会社アイビスワールドによると、2024-25年度のオーストラリアの薬局市場全体の売上高は推計295万9,380豪ドル(約2兆9,000億円)と前年度と比べて2.7%増えるという。
日本のドラッグストアの市場規模は9兆2,022億円(帝国データバンク)とされる。単純に比較できないが、オーストラリアの薬局市場は日本のざっと3分の1と人口比より規模が大きい。
売上高の商品別内訳は処方箋薬が59.7%、処方箋の要らない一般薬が19.0%、薬品以外の商品が17.6%、サービス(ワクチン接種など)が3.7%となっている。
過去5年間の年間平均成長率(CAGR)は2.6%増と堅調に推移している。近年の健康志向の高まりに加えて、オーストラリアでも高齢化が進行していることも追い風となり、処方箋薬、一般薬ともに販売が伸びているという。アイビスワールドの試算では、今後5年間のCAGRも2.4%増と安定した成長が見込めるとしている。
従来の医薬品やヘルスケア商品の小売が中心だったが、コロナ禍以降もインフルエンザのワクチン接種や簡易的な検査などのサービス部門が伸びている。
一方、連邦政府が2023年、300種類の薬を対象に処方箋の有効期間(従来30日間)を60日間に延長したことは、薬局にとっては逆風となっている。国民の経済的負担を軽減することが目的だが、薬局にとっては来店回数や手数料収入が減り、利益を圧縮する要因になると指摘されている。
■ソース
Industry Report G4271A “Pharmacies in Australia”, October 2024(IBISWorld)