オーストラリア株価が上昇している理由とは?

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利下げ期待高まる 年間騰落率は日米に出遅れも

 オーストラリア証券取引所(ASX)の主要株価指数「S&P/ASX200」が31日、終値の史上最高値を約2カ月ぶりに更新した。このところの株価上昇の背景には、29日発表の昨年12月の消費者物価指数(CPI)が予測を下回り、2月の利下げ開始がほぼ確実視されていることがある。

 一般的に、利下げは株価を押し上げる要因になる。企業の借り入れコストを下げて設備投資を促進する。家計の財布の紐も緩めさせ、消費拡大を促して景気を刺激する効果が期待できる。

 オーストラリアの株式投資情報会社「マーケット・インデックス」によると、セクター別では特に金利に敏感な一般消費財や生活必需品、金融などの関連銘柄に買いが入っている。加えて、オーストラリアの主要輸出商品である鉄鉱石や、世界最大の埋蔵量を誇るウランの価格が回復基調にあることから、資源やエネルギーのセクターも株価上昇をけん引した。

 こうした国内要因のほかに、オーストラリアの株価に大きな影響を与える米国株の回復も、追い風になった。

 ニューヨーク市場では27日、中国のスタートアップ企業「ディープシーク」が低コストで高性能とされる人工知能(AI)モデルを発表したことから、AIやIT関連株が急落した。しかし、その後ハイテク株が速いペースで持ち直したことで、再びリスクを取る動きが強まっている。

 なお、市場規模が異なるため単純比較できないが、2024年のオーストラリア株(S&P/ASX200)の年間騰落率(23年末と24年末の終値を比較した上昇率)はプラス7.5%となった。23.3%上昇した米国株(S&P500)、19.2%上昇した日本株(日経平均)と比べるとパフォーマンスは劣後している(グラフ参照)。

 今年のオーストラリア株は、米国のトランプ新政権の政策に翻弄されることになる。トランプ大統領が掲げる関税引き上げは、米国だけではなく世界的なインフレ再燃につながりかねないと見られている。一方、AIへの巨額投資や規制緩和、法人税減税などは、オーストラリア経済にとっても追い風となる可能性がある。こうした地殻変動がオーストラリア企業にどのような影響をもたらすのかを見極める1年となりそうだ。

■ソース

Evening Wrap: ASX 200 tips new record as investors scoop up consumer and financial stocks, uranium and iron ore lead resources(Market Index)

Market Overview(ASX)

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