オーストラリア与党は水素エネルギー推進 野党は原発で脱炭素

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5月までに行われる選挙次第では方向転換も

 オーストラリア東部クイーンズランド州グラッドストーンの水素プロジェクトへの州政府の出資打ち切りについて、連邦政府・与党労働党のエクリス・ボウエン気候変動・エネルギー相は、「驚いており、残念に思っている」と述べた。その上で、同プロジェクトを引き続き支援する姿勢を明らかにした。公共放送ABC(電子版)が伝えている。

 環境保護に熱心な中道左派の連邦労働党政権は昨年、化石燃料から再エネへの移行で経済成長を図る産業政策大綱「オーストラリアで作られる未来」(フューチャー・メイド・イン・オーストラリア)を発表。その一環として、グリーン水素1キロ当たり2豪ドルの税金を控除する法案を議会に上程するなど、水素エネルギー開発を強く後押ししている。

 ただ、ボウエン氏はグラッドストーン事業の今後について「どのように進展するかは、最終的には参画者の商業的な決断による」とも語った。あくまでも民間主導のプロジェクトとの立場から、連邦政府が全面的に資金をバックアップする意向はないと見られる。

 一方、連邦最大野党の保守連合は昨年、全国7カ所の火力発電所跡地に原発を新設する計画を発表している。オーストラリアは世界有数のウラン輸出国で、埋蔵量も世界最大だが、国内に商業用原子炉は1基もない。保守連合は温室効果ガス削減策として、再生可能エネルギーよりも原発解禁を優先する戦略だ。

 オーストラリアでは5月17日までに連邦選挙(下院の全議席と上院の約半数を改選)が行われる。支持率で優位に立つ保守連合が勝利した場合、水素戦略が方向転換する可能性もある。水素関連の日本企業は注視する必要がありそうだ。

■ソース

Federal government ‘surprised and disappointed’ by Queensland decision to end support for hydrogen project(ABC News)

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