第1次政権では引き上げ回避も今回は?
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高めの球を投げて譲歩を引き出すドナルド・トランプ米大統領流の交渉術に対して、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が繰り出せる外交カードはあるのか? トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに一律25%の関税を課すと表明したことを受けて、アルバニージー首相は10日、トランプ大統領と急きょ電話で協議すると述べた。
公共放送ABC(電子版)によると、アルバニージー首相は連邦議会で「トランプ大統領と会談の予定が入った。会談の結果を議会と国民と共有する」と述べた。その上で首相は「私は国民とオーストラリアの国益のために立ち上がる」と語り、オーストラリア製の鉄鋼とアルミに関税の適用を除外するよう会談で要請することを示唆した。
トランプ氏は第1次政権でも鉄鋼とアルミニウムの関税を引き上げた。しかし、オーストラリアの保守政権(当時)は2018年、外交交渉の結果、関税の適用除外をもぎ取った経緯がある。
真価が試されるアルバニージー外交
1月20日のトランプ大統領就任以来、初の豪米首脳会談となる。ABCによると、アルバニージー氏は昨年11月の米大統領選直後に短い電話で祝意を伝えたが、それ以来、トランプ氏とは話していないという。
アルバニージー氏は野党議員時代、第1次政権で大統領に就いたトランプ氏を批判した過去がある。労働党の元首相で現在、駐米大使を務めるケビン・ラッド氏も以前、ソーシャル・メディアでトランプ氏を痛烈に批判していたため遺恨を残した。大統領選後にコメントを削除したが、トランプ新政権との関係を不安視する向きもある。
そもそもアルバニージー氏は、多国間の国際協調や自由貿易、環境保護を重視する中道左派・労働党の中でも左派派閥に属する。米国第一主義や化石燃料の生産拡大を掲げる保守派のトランプ氏とは、政治信条が大きく異なる。まもなく行われる豪米首脳会談は、連邦選挙(5月までに実施)が目前に迫ったアルバニージー氏にとって、外交成果をアピールできるか。重要な試金石となりそうだ。
■ソース
PM to speak with Trump after president flags steel tariffs(ABC News)