北東部近海に中国艦3隻展開 貿易正常化も軍事緊張は続く
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中国人民解放軍空軍の戦闘機「J-16」が11日、南シナ海で定期監視活動をしていたオーストラリア王立空軍の哨戒機「P-8Aポセイドン」に対し、近距離からフレアを発射する妨害行為があった。オーストラリア国防軍が13日、発表した。
フレアは金属粉末を燃焼させることによって光と熱を発し、赤外線誘導ミサイルを撹乱して命中を回避する装置。領空侵犯機などへの威嚇にも使用される。発表によると、兵士にはフレア発射によるケガはなく、機体への損傷もなかった。
オーストラリア政府は「安全ではない、プロフェッショナルではない行動だ。航空機と乗員に危険をもたらす」として中国側に懸念を表明した。一方、中国政府はオーストラリア機が中国の領空に侵入したと主張し、非難している。
オーストラリアは米軍などとともに、中国が軍事拠点化を進める南シナ海で「航行の自由作戦」に参加している。これに反発する中国軍はオーストラリア軍に対し、これまでも挑発行為を繰り返している。
南シナ海では2022年5月、中国空軍の戦闘機がオーストラリア空軍機に異常接近し、レーダー妨害のアルミ箔「チャフ」を散布した。23年1月には、日本の排他的経済水域内で、中国海軍の攻撃艦がオーストラリア海軍のフリゲート艦にソナーを照射し、作業中の潜水夫が負傷した。24年5月には、黄海の公海上で中国空軍の戦闘機がオーストラリア海軍のヘリに照明弾を発射している。
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南シナ海のフレア発射事案とは別に、オーストラリア国防軍は13日、中国海軍のフリゲート艦と巡洋艦、補給艦の3隻がオーストラリア北東海域で活動していると発表した。国防軍によると、このうちフリゲート艦1隻はオーストラリア北部の領海を横切ったと主張しており、近海を通るすべての艦船を監視しているとしている。
中国は昨年末までに、22年から始めたオーストラリア産品への禁輸や輸入規制をすべて撤廃。表面的には、豪中対立は収まったように見えるが、安全保障の最前線では激しい緊張が続いている。
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