基調インフレ率、物価目標2〜3%に近づく
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生活コスト高騰に疲弊しているオーストラリアの生活者にとっては朗報だ。中央銀行の豪準備銀(RBA)は18日、政策金利を0.25ポイント引き下げて4.10%にすると発表し、ようやく緩和に舵を切った。17〜18日に開いた金融政策を決める今年最初の会合で、物価上昇が持続可能な水準まで低下したと判断して決定した。
コロナ禍の景気刺激策で政策金利を史上最低の0.10%に引き下げた2020年11月以来、利上げは4年3カ月ぶり。22年5月以降、経済再開に伴い過熱するインフレを抑えるため、1年半の間に13会合で利上げするという異例のハイペースで金融引き締めを行い、23年11月には4.35%まで引き上げていた。その後、23年12月以降の1年2カ月間、9会合連続で据え置いていた。
RBA理事会は会合後に発表した声明で「(24年)10-12月期の基調インフレ率(トリム中央値=極端な物価変動を除いた値=コア・インフレ率に近い)は3.2%の上昇となり、インフレ圧力が想定より早く沈静化されていることが示された。民間需要の成長も引き続き抑制され、賃金上昇圧力も収まってきた」と述べた。これらを踏まえて、理事会は「インフレが2〜3%の目標の中心に向かって持続的に低下していることに確信を深めた」と利下げに踏み切った理由を説明した。
ただ、今後については「アップサイド・リスク」(インフレ再燃リスク)が拭えないとして、追加利下げに慎重な姿勢を示した。その上で「理事会は引き続き断固としてインフレ目標の達成に取り組み、そのために必要な策を打つ」と表明した。
日本を除く主要国の中銀が昨年来、利下げに転じる中で、RBAはこれまでインフレ再燃を懸念して緩和に踏みとどまっていた。しかし、24年10-12月期の消費者物価指数(CPI)統計で物価目標の達成が見えてきたことなどから、マーケットはおおむね2月の利下げを織り込んでいて、サプライズはなかった。
■ソース
Monetary Policy Decision Statement(Reserve Bank of Australia)