オーストラリアのスマホ市場はどうなっているの? ①「今持ってる機種で十分じゃね」

SHARE

成熟化で新規需要は頭打ち

 米アップルの「iPhone」シリーズで最も低価格の「iPhone 16e」が28日、オーストラリアで発売される。1,000豪ドル(約9万5,000円)を切る比較的リーズナブルな価格に抑えながら、最新のSoC(システム・オン・チップ)やAI(人工知能)機能などを備えた16eがどれだけ売れるかが注目される。そこで、オーストラリアのスマートフォン市場が今どうなっているのか調べてみた。

オーストラリアで28日に発売される「iPhone 16e」。価格は、ストレージ容量が126GBの一番安いモデルで999豪ドルからとなっている(Photo: Apple)

 オーストラリアでもスマホはほぼ全国民に浸透している。オーストラリア通信メディア局(ACMA)の報告書(2024年12月)によると、23年12月時点の携帯電話契約数は前年比3.7%増の2,980万件(後払いとプリペイドの合計)と全人口(現時点で約2,700万人)を超えている。

 市場ではフィーチャーフォン(従来型携帯電話)がほぼ消滅していて、携帯電話のほとんどがスマホと考えられる。成人では2台持ちの人も少なくないと見られ、普及率は100%以上と推定される。

 ただ、スマホが社会に浸透してから十数年経ち、技術革新のスピードは遅くなった。買い替えサイクルも伸びていて市場は成熟化。新規需要は頭打ち傾向にある。特にガジェットにこだわる人でなければ「壊れない限り、今使っている機種で十分」といった、買い控え傾向が強まっているようだ。

 オーストラリアのIT調査会社「テルサイト」によると、23年にはスマホの平均使用年数は4年弱まで伸びているという。これは、日本の主な調査結果とおおむね同じ買い替えサイクルとなっている。

 こうした消費動向を背景に、販売にもブレーキがかかっている。米IT調査会社IDCによると、23年第4四半期(10-12月)のオーストラリアのスマホ出荷台数は、前年同期比6.0%減の210万台と5四半期連続でマイナスとなった。23年通年では前年比で9.3%減少している。

オーストラリアのスマホ市場はどうなっているの? ②日本と同じくiPhoneの牙城へ続く)

■ソース

Trends and developments in telecommunications in 2023-24, December 2024(Australian Communications and Media Authority)

AUSTRALIA’S SMARTPHONE SALES BOUNCE BACK(Telsyte)

IDC: Australia Smartphone Shipments Dropped for the Fifth Consecutive Quarter to 2.1 Million Units in 4Q23(IDC)

SHARE
Google Adsense
[the_ad_placement id="single-new-bottom"]