物価連動2年凍結 値上げ圧力軽減アピール
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暑く乾燥したオーストラリアの夏。タップから注がれた、キンキンに冷えた生ビールほどうまいものはない。そんなビール好きにとっては良いニュース。アンソニー・アルバニージー首相は1日、パブ(英国式の酒場)などで提供する生ビール税の引き上げを今後2年間、凍結すると発表したのだ。
連邦政府は半年毎に毎年2回ずつ、生ビール税を物価に連動して引き上げている。これを据え置くことで市場価格の上昇を抑える。アルバニージー首相は声明で「生ビール税の引き上げ凍結は常識的な施策。ビールを飲む人や酒造メーカー、パブにとって良いことだ」と述べた。
近年のインフレと税引き上げを背景に、オーストラリアでは生ビールの価格が高騰している。例えば、シドニー市内中心部や北部住宅街のパブでは約5年前、生ビール1杯(スクーナー=425ミリリットル)の相場はおおむね8豪ドル(約750円)前後だったが、コロナ禍後の激しい物価上昇を背景に現在では1杯12豪ドル(約1,120円)前後と約5割上昇している。
オーストラリアでは5月17日までに次期連邦選挙(下院の全議席と上院の約半数を改選)が行われる。アルバニージー首相率いる労働党政権としては、アルコール好きの国民から幅広い支持を得たいところ。露骨な選挙対策とも言えそうだ。
酒造税還付金も引き上げ
アルバニージー政権は先に、醸造所や蒸溜所が受けられる酒造税の還付金の上限を2026年7月1日以降、現行の年間35万豪ドルから40万豪ドルに引き上げると発表していた。ワインの輸入価格または卸売価格に課す「ワイン均一化税」(WET=29%)についても、同じく35万豪ドルから40万豪ドルに引き上げる。
政府によると、現時点で約1,500の醸造所・蒸溜所、約3,000のワイン・メーカーが税の還付を受けている。還付金の上限引き上げによって、24-25年度からの5年間で7,000万豪ドルの税収が減少するという。
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